この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第70巻収録。CIAの依頼で動いていた世界最高峰の狙撃手・カーが、たった400mの狙撃に失敗した。標的はKGBが莫大な費用をかけて作り上げた“心霊兵器”フリーマン。カーの狙撃失敗はフリーマンの超能力によるものだったのか? CIAは最後の切り札としてゴルゴにフリーマンの暗殺を依頼する。脚本:安達謙太郎
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死者も踊らす情報機関の恐ろしさ
子供の頃、誰でも一度は憧れる言葉が「超能力」ではないだろうか。透視能力、予知能力など何が超能力かわからないが、そこに、より神秘的な雰囲気を感じていたと思う。
超能力の情報機関による利用については映画『アトランティスのこころ』が秀逸であり、ゴルゴシリーズではゴルゴが狙撃をしくじる『テレパス』があるが、どちらの超能力者もこの作品のフリーマンのように幸せとはいえない末路をたどる。一人の人間をこのような形で国家のために利用して憚らない精神性には恐れ入るが、死人も利用する情報機関にとっては朝飯前なのだろう。
怪しい旅行社の格安ツアーにはご用心
今回は『禁じられた言葉』でも取り上げられた「催眠術」が最大の敵である。ある行為やキーワードにより、ロボットのように心を操られるのだから、恐ろしい限りである。事件を起こした人間の足跡をたどると、皆同じ旅行社を経由して同じ場所へ立ち寄っている。
そこはいわゆる娼婦の館であるが、ドイツは戦前の日本同様、売春が合法な国である。合法である代わりに、店は保健所に届けを出し、衛生面や感染症について予防のための検査義務も負っている。殿方たちにとって、このような場所が組み込まれた格安ツアーはさぞ魅力的なことだろう。
仕込みはオイルサーディンそして驚愕の結末
今回ゴルゴがとった作戦は、塩辛いオイルサーディンをフリーマンに食べさせ、彼が視聴するテレビ番組に水滴のついた清涼飲料水ボトルの映像を埋め込むサブリミナル効果を利用して、テラスへと誘導する。
サブリミナルは映画館などでコーラの販売を増やそうと、一般的に試みられたことがあるが、悪影響が懸念されて現在は禁止されているはずである。そしてゴルゴのミッション遂行後、あっと驚く予想外の結末が待っている。今回、KGBはCIAが雇ったゴルゴにしてやられたと思ったが、KGBの仕込んだ罠が最後に火を吹いたのである。
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野原 圭
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