この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第127巻収録。ある海上でクルーザー同士の衝突事故が発生。不思議なことに衝突された側のクルーザーは無人であった。じつは海中から狙撃を成功させたゴルゴがトラブルに遭い、クルーザーに戻れなくなっていたのだった……。
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ゴルゴの大敵は自然界とその生き物
船上のクルーがのんびり釣りを楽しむ様子から一転、鮫が人間を襲う、ジョーズを彷彿とさせる迫力満点の凄惨な描画に、どんな展開が待ち受けるのかとゾクゾクする。
『スフィンクスの微笑』の砂漠『白龍昇り立つ』の雪山など、ゴルゴにとっての難敵は厳しい自然環境であり、今回は海底という、人間にとって不可欠な空気が、吸えない状況で、思わぬアクシデントに見舞われる。いかに強靱なゴルゴといえども空気がなくては生きられない。しかも獰猛な鮫に囲まれ、陸のように俊敏な動きを封じられた彼は一体どのようにピンチを切り抜けるのか。
どれほど獰猛な動物にも急所はある
小学生の女の子が両親、妹とキャンプに行った。明け方、不意にテントを外から押すような感触に目が覚めた。虫の居所が悪かったのだろうか、妹がいたずらしていると思った女の子は、テントの中から、もぞもぞ動く場所に思いっきり蹴りを入れた。その様子を偶然外で見ていた人が仰天した。
何とテントを押していたのは熊で、急所を押さえながらヨロヨロと逃げ去ったという。蹴った場所がたまたま急所だったのだろう。怖いものしらずとはこのことだが熊もさぞ驚いたと思う。鮫の急所が鼻という解説があるが、怖くて撃退できる自信はない。
人生いろいろ、豚にもいろいろ
ゴルゴを容赦なく襲う獰猛な鮫の描写が素晴らしい。目に、人間のような感情がこもり恐怖感倍増である。難破船を利用して酸素不足をしのぐ様子や潜水病についての解説など、海中ならではの特有な現象についての解説が実に興味深かった。最後のお気楽青年はご愛敬だろう。
キャッシュ艇長の「海底では人はのろまな豚だ」というセリフでタイトルの意味が判明する。獰猛な鮫にとっては格好の餌食、という含みもあると思う。しかし、すべての生き物には個体差がある。イルカは漢字で「海豚」と書く。この豚はイルカ並のタフで賢い豚なのだった。
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野原 圭
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