この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第159巻収録。関西国際空港に爆弾が仕掛けられたことが判明。犯人は爆弾魔・テンプルの恋人で、元CIAの工作員・キャサリン。彼女は爆破中止と引き換えに拘留中のテンプルの解放を要求する。が、テンプルはすでにゴルゴによって射殺されており、どうにもならない……。
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関西弁が飛び交う異色のエピソード
日本を舞台とするエピソードは数多いが、本話は異色の「大阪回」。タイトルの通り、人工島に作られた関西国際空港が舞台となるが、掃除のおばちゃんや刑事などの関西弁が飛び交う光景は、世界を股にかける『ゴルゴ13』という作品の中でも異彩を放っている。
そんな中で、アメリカの軍人を演じる都合上、敢えて片言の日本語を話すゴルゴの描写も面白い。SATのスナイパーに代わって爆弾犯を始末し、さらに爆弾をも豪快に処理してみせた彼だが、それを目撃した警察や空港の人々には、「片言の米国軍人」として鮮烈に記憶されたことだろう……。
標的の後始末はアフターサービス?
今回のゴルゴの標的は、元軍人の爆弾魔・テンプル。その彼は序盤で早々に射殺されてしまうが、面倒事はそれからだった。彼の死を知らない情婦のキャサリンが、テンプルの釈放を求めて爆弾テロを起こしたことで、事態は関空中を巻き込む大事件へと発展する。
総領事館員のマクフライや大阪府警の面々、変装のターゲットにされた掃除のおばちゃんとその娘の女性刑事など、様々な登場人物が右往左往する中、流れで解決役を任されるゴルゴの存在感が鮮烈だ。ゴルゴとしては面倒な後始末を押し付けられた形だが、追加料金は請求したのだろうか……。
ゴルゴが認めた「信頼できる」空港
本話では、ゴルゴが日本への出入りに関西国際空港を愛用しているという事実が明らかになるが、その理由は一本の橋で陸地と繋がっている立地にあるという。逃げ道が一本なら守りに徹しやすいというわけで、ギリシア軍が狭い地形を利用してペルシアの軍勢を退けた「テルモピュライの戦い」を彷彿とさせる話だ。
あらゆるリスクに常に備えるゴルゴの姿勢は、ラストの爆弾処理にも現れている。マクフライの言葉通り、人任せにしては自分も助からないと踏んだ彼は、自ら爆弾を持ち去って爆発させてしまう。彼が生き残り続けている理由を実感する一幕だった。
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東郷 嘉博
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