この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第201巻収録。お馴染みのキャラとなった東洋通信メキシコ支局の梶本が、同窓会に出席するため帰日した。会場でメキシコの経済省次官と自動車メーカーの重役が怪しげな密談をしている現場に遭遇した梶本は、スクープの匂いを嗅ぎつけ両者を尾行する……。脚本:綾羅木恭一郎
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不運?幸運?またもゴルゴと行き合う梶本
不運な準レギュラーNo.1とも言われる梶本記者の主役回。今回の彼は、刑事となっていた同窓生に成り行きで協力し、得意のスペイン語を活かして捜査に協力することになる。スクープをものにして編集長の鼻をあかし、珍しく快哉と思われた矢先、空港でゴルゴとニアミスし、慌てて飛行機をキャンセルして震え上がるという落ちも待っていた。
度々ゴルゴと行き合う彼は不運なのか、最悪の事態は毎度回避しているので幸運な部類なのか……。ラストシーンでゴルゴの隣席が空いているが、隣に乗り合わせるはずだったかもしれないと思うと同情が湧いてくる。

フィクションを超えた現実の麻薬腐敗
メキシコ経済省の次官が薬物密輸に絡んでいたという衝撃的な展開が目を引く本話だが、事実はゴルゴより奇なりである。本話の初出は2019年1月だが、同年12月にはメキシコの元公安相、翌2020年には前国防相が、ともに麻薬関連の容疑でアメリカで逮捕され話題になった(※1)。
両者とも麻薬対策を指揮する立場にありながら、裏では麻薬組織と繋がり私腹を肥やしていたのである。本話の依頼も、国内では揉み消されるため、メキシコ国外で標的の悪事を明るみに出してほしいとの内容だったが……。同国の腐敗はフィクションだけの話ではなかったようだ。
車体に隠すのは半世紀前からの常套手段?
工場ぐるみで犯罪に関与し、車体のフレームに薬物の袋を隠すという大胆な手口で密輸を行っていた今回の標的達。実際にそこまで行っている麻薬組織が実在するのかは不明だが、調べていると興味深い事例があった。
本話の「ヴォルフスアウト社」の元ネタと思われるフォルクスワーゲンの、相当に年季が入った中古車をある人が購入したところ、アンダーカウルに何十年も前のものと思われるマリファナがぎっしり詰まっていたというのだ(※2)。車内に薬物を隠すのは昔から常套手段ということだが、もしかしたら本話の着想元の一つだったかもしれない。
(※1)出典:朝日新聞デジタル「麻薬組織の首領の正体は…メキシコ前大臣、米で身柄拘束」(2020年10月17日)
(※2)出典:GIGAZINE「中古で買った車からマリファナが発見される」(2007年08月23日)

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東郷 嘉博

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