この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第53巻収録。ローマ法王パウロ2世が何者かに誘拐された。クリスマス・ミサまでに法王を助け出したい友愛団体フリーメイソンは、ゴルゴを雇い法王の救出と誘拐の黒幕の始末を依頼する。ゴルゴを神父としてバチカン内部に送り込むため、あらかじめゴルゴの影武者を用意するフリーメイソンだったが…。
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ゴルゴ屈指の難解タイトル
ゴルゴのエピソードタイトルは案件名・地名・人名、それらを含んだものが多く、わかりやすい。例えば、『ミッション・イン・ヘル』『モンゴルの鷹』『毛沢東の遺言』などだ。
一見わかりにくくても、内容を想像できるタイトルが多い。一方の「ズドロナス・マリヨ」はエピソード内で意味が分かるようになっているが、シリーズ屈指のタイトルのわかりにくさだ。同様のものに『マニトバ』『S・F・Z(スフォルツァンド)』がありスフォルツァンドはエピソードを読むだけでは意味が分からない(音楽用語なので分かる人には自明なのだろうが)のでご注意を。
ゴルゴの影武者登場
ゴルゴにはさまざまな登場人物の影武者が多数登場する。『東欧の激動・六日間革命』のチャウシェスク、『顔のない男』のカダフィ、『アルヘンティーノ・ティグレ』のペロン元大統領と錚々たるメンバーだ。今エピソードの影武者も超大物ローマ法王である。さらにウラ社会の超大物ゴルゴの影武者も登場するのがたまらない。
ただ、ゴルゴの影武者は活躍のないままあっけなくゴルゴに消さるのが残念だ。二人の絡みを見たかった。ゴルゴと影武者がどのような掛け合いをみせるのか。興味ある読者は多いはずである。蛇足ながら、日本のマスコミ表記で”ローマ法王”は2019年から”ローマ教皇”へ切り替わっている。
珍しくサービス満点なゴルゴ
依頼はパウロ2世の”拉致者”とミサ出席を妨害する“人物”の抹殺であった。従って、今エピソードのゴルゴは影武者のパウロ2世を人質に取ったKGB要員を殺害した時点で依頼を遂行しているはず。だが今回、なぜがアウターケアもサービス満点だ。影武者パウロ2世にミサを開催させ讃美歌13番を流すところまで見守っている。
前半、迷わずラチュルク神父を銃殺しているガチンコなゴルゴからは想像しがたい。どこで心境の変化が発生したのか読者として興味をそそられる。また、ゴルゴが世界宗教大連合構想に賛同していたのかも気になるところだ。
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片山 恵右
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