この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第40巻収録。「アメリカの異邦人」と呼ばれるテログループが、司法長官・エヴァンスの殺人予告をロス市警に通達。即座にゴルゴにコンタクトをとるエヴァンスだったが、「アメリカの異邦人」のボスで謎の女医・リタは、先手を打ってゴルゴを麻酔銃で狙撃し拉致してしまう……。脚本:岩沢克
スポンサーリンク
ピンチをすぐさまチャンスに変えたゴルゴ
テログループのリーダー「女医リタ」とゴルゴの頭脳戦が最大の見所となる本話。リタはゴルゴを麻酔銃で眠らせて拉致することに成功しており、もし彼女らの目的がゴルゴの抹殺にあったなら危ないところだった。が、これをゴルゴ最大のピンチだったとまで言うのは読みが浅いだろう。
敵が自分を殺さず拉致したという時点で、ゴルゴは当然、敵の何らかの計画の存在を察し、それを逆に利用して標的リタの正体を突き止めてやろうと思考を巡らせたはず。事実、ゴルゴは罠を見抜いてリタの抹殺に成功しており、敵より一枚上手だったといえる。

ゴルゴのポリシーを熟知したリタの作戦
ゴルゴには一歩及ばなかったとはいえ、女医リタの計略も大したもの。依頼人であるエヴィンス長官の裏切りを捏造し、自分達にとって障害となる長官をゴルゴに始末させようというもので、ゴルゴの性質をよく熟知した作戦だ。
惜しむらくは、そもそも彼を殺さず拉致した時点で、何らかの計略があることを見抜かれてしまったことだろう。また、ゴルゴ自身が述べているように、彼に薬まで盛ったのは明らかにやりすぎで、そのせいで医学知識を持つ彼に手の内がバレてしまっている。結局、ゴルゴを利用しようなどと考えたこと自体がリタの敗因だったか。
ゴルゴの前で余計な嫌味は禁物
多種多様な依頼人が登場する『ゴルゴ13』。中には露骨に不信感をあらわにしたり、無謀にもゴルゴを試そうとする者も少なくないが、そうした依頼人に対するゴルゴの当意即妙な返しもお決まりの見所だ。
本話のエヴィンス長官も、「東洋人のきみも言ってみればアメリカの異邦人、この仕事は気が進まぬとでもいうのかな?」と余計な嫌味を言い、すぐにゴルゴに「あんたが、少しでもおれにその疑いを持っているのなら、話を白紙にもどすのだな……」と切り返されて詫びを入れる羽目になっている。ゴルゴに煽りなど通用しないことが実感できる一幕だ。

この作品が読める書籍はこちら

東郷 嘉博

最新記事 by 東郷 嘉博 (全て見る)
- ゴルゴ13:第536話『神の鉄槌』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第552話『受難の帰日』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第535話『森と湖の国の銃』のみどころ - 2024年9月19日