この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第40巻収録。エチオピア空軍が使う次期戦闘機をめぐり、自社が推す戦闘機を売り込みたいダグラス社は、演習で商敵の戦闘機を狙撃し欠陥品のイメージを植え付けるようゴルゴに依頼する。しかし商敵も同じ依頼を狙撃者バーナビーに出していたため、ゴルゴvsバーナビーの狙撃合戦が勃発する……。脚本:外浦吾郎
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プロの真髄を発揮するゴルゴ
ゴルゴが無口なのは周知だろう。バーナビーに対してはその無口ぶりをつとに発揮している。エレベーターで「出ないのか?」という言葉以外、バーナビーには一言も発していない。そのクセ、バーナービーが試射でスコープを装着するのをしっかりとチェックしている。このゴルゴの様子から読者は何かを読み取らねばならない。
しかし、ほとんどの読者はシリーズの登場人物らしからぬバーナビーの陽気さに勝敗を決する伏線が張られていることを見逃してしまうのではないか。もちろん、ゴルゴはバーナービーの陽気さに幻惑されることなくきっちりと仕事をする。ここにプロの神髄が読み取れる。
海軍が廃止されたエチオピア
エチオピアはエリトリア解放戦線との国内抗争の真っ最中であるとエピソード中で触れられている。エチオピア空軍の戦闘機導入の努力も空しく、後の1991年エリトリアに独立を許している。
紅海に面する地域をエリトリアに奪われたせいで、エチオピアは内陸国になってしまい、海軍が廃止されるという珍しい事例が発生している。なお空軍は健在なのだが、F-15戦闘機については日・米・イスラエル・サウジアラビアでのみ制式採用されており、エチオピア空軍への納入実績はなく主にソ連製の戦闘機が運用されている。
ゴルゴと戦闘機
ゴルゴのおかげで、F-14 (トムキャット)に対する優位性を演出したF-15(イーグル)であるが、実際にはどうだったか。F-14は映画『トップガン』で一躍有名になったが、アメリカ以外にはイランくらいしか納入実績がないのに対し、F-15はイスラエル、サウジアラビア、日本で運用されている。一般人なら戦闘機など実物を見る機会もそうそうない。
ゴルゴは戦闘機とも縁が深く『偽空座標X』ではまさにF-15でドッグファイトを演じ、『高度1万メートルのエピデミック』でもF-15 から、飛行中の旅客機のコックピットを狙撃する離れ業を、『ミステリーの女王』ではF104で米軍基地を襲っている。
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片山 恵右
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