この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第122巻収録。ECのロケット「アリアン」の打ち上げが、原因不明の爆発を起こし失敗した。タイ人ブローカー、ポンピッチの陰謀説が有力視されたが、証拠はなにひとつ見つからなかった。その後、日中共同で打ち上げる通信衛星の打ち上げにも絡んできたポンピッチ。爆発の原因究明とポンピッチ抹殺を任されたゴルゴが見たトリックとは……。
スポンサーリンク
大金の動くロケットビジネス
かつては国家事業でもあったロケットの打ち上げ。それは現代でも変わらないものの、いろんな企業が参加するロケットビジネスにもなっている。ゴルゴシリーズでは『剥がれた鍍金』『流星雨の彼方で』などで宇宙関連のテーマを扱っているが、国家の威信が表にでる一方で裏ではビジネスの面も色濃く浮き出ている。
本作では日本、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国のロケットを比較し、日本に軍配を上げている。それを聞いたNNT-モデルはもちろんNTTだろう-の関係者が、冷や汗をかきつつ微笑んでいるカットをみると何とも複雑な心境になってしまう。
巨額なお金はどこから出ている?
4Gから5Gに、そして6Gに向かおうとする現在。通信事業は再び国家事業となりつつあるが、本作の発表された1997年においては企業がまだまだ主導する余地があった時期だ。
NNT関係者がタイの企業家に、「功労金として五十億、振り込みましたから」とする場面も描かれているが、保護されたも同然の通信費で潤っていた企業であれば、50億でもはした金になりそうだ。そこで気になるのは50億の単位だ。日本円の50億円でも巨額だが、タイの50億バーツであれば日本円では170億円にもなる。果たしてどちらだろうか。
偶然が確信に変わる時
本作でロケット爆破の犯人捜しなどを依頼されたゴルゴは、以前にロケットが爆破した映像に鳩が映っており、今回の現場でも鳩が飛んでいたことから、「二度の偶然はないっ!!」として二羽の鳩の足を狙撃している。
結果的に鳩を撃ったことでロケットは故障を免れているものの、爆破の正確な原因を突き止めた訳でもないので、かなりの賭けに思えてしまう。しかし『守宮の盗聴』では、見かけた犬の動向から不審な気配を察知したこともあった。ゴルゴにすれば2度も異常を確認できれば疑いをかけるには十分なのかもしれない。
この作品が読める書籍はこちら
研 修治
最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第643話『怪力戦士イヴァノバ』のみどころ - 2024年11月11日
- ゴルゴ13:第642話『女の平和』のみどころ - 2024年10月1日
- ゴルゴ13:第641話『ゴッド・セイブ・ザ・キング』のみどころ - 2024年9月19日