この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第13巻収録。余命短いマフィアのボス、ジョーは、最後の仕事として原油を積んだ貨物船をシージャックするため、“シャドウ”の通り名をもつ一級スナイパー、ビンセント・ケスラーに助っ人を要請。シージャック発生の報をうけたFBIは熟慮のすえ、ゴルゴにシージャック犯の抹殺を依頼する。脚本:K・元美津
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メディアも誤認するゴルゴの真髄とは!?
ゴルゴをメディアが取り上げるとき、真っ先に挙げるのがその狙撃の技量だろう。これはゲームセンターなどにおいてゴルゴのゲーム=狙撃となっていることから明らかだ。しかし彼の真髄は「依頼された任務」において必要なことを高度な次元でこなすその万能性にある。
本作でもその万能性は如何なく発揮されていて荒波の、FBI相手にクルーザーで灯台まで乗り付け驚愕させたり潜水スーツを着込み船の足止めを行うなど枚挙にいとまがない。そんな射撃以外もそつなくこなすゴルゴの雄姿を本作品で楽しめるのがみどころのひとつである。余談だがゴルゴの万能性を楽しみたいのなら『一射一生』もお勧めだ。宇宙服を着こんで飛んでもない荒業を成し遂げるユニークな作品となっている。

ゴルゴも認めた強敵シャドウ
本作品のライバルはゴルゴも「並みのプロじゃあない」と言わしめる男、狙撃屋のシャドウだ。彼の腕を示す描写は作中でもたびたび登場していていて飛んでいる鳥を二羽立て続けに撃ち落とすのを皮切りに揺れる船上からのマストや追手に対しての正確無比な射撃などこちらも枚挙にいとまがない。そんな強敵をゴルゴがどう攻略するのかもみどころと言えるだろう。
ゴルゴも認めるシャドウだが性格に難があり恋人、人質への対応、どれをとっても凶暴そのもの。作中ではそんな彼が起こした凶事により物語が進んでいくのも面白い。ちなみに『AT PIN-HOLE!』に登場したフラナガンが再登場しているが、彼の所属に注視しながら作品を読み込むと興味深い事実にたどり着くことが出来るだろう。
ゴルゴに対する登場人物達の思いに注目!
作中で「得たいの知れないやくざに任せるのは辞めるべき」とフラナガンは詰め寄られるが、彼は逆にこの困難な状況を完璧に遂行できるのかと過去経験の有無を交えて切り返す。ゴルゴの過去実績を知るフラナガンは、彼に充分なフィージビリティ(調査・検証)があると確信し説き伏せるのである。
フラナガンのこの姿勢が我々の(ゴルゴならやってくれる)という気持ちを代弁しているため、読者の胸が熱くなるのだ。そしてシャドウもまたゴルゴを認め、ゴルゴシリーズ屈指の静かだが熱い掛け合いを展開する。ゴルゴを中心に登場人物が織りなすそれぞれの掛け合いが本作品最大のみどころだろう。

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小摩木 佑輔

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