この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第20巻収録。少女が暴行されたうえ絞殺された。捜査に乗り出したFBIは、町のモーテルに宿泊中のゴルゴを容疑者として連行するも、血液型の相違から無罪放免。ゴルゴの監視を続けていたFBIは、殺人現場でペギーの雇い主だったカーターと、ゴルゴが密談している現場を目撃する。はたしてゴルゴの目的とは……? 脚本:K・元美津
スポンサーリンク
ゴルゴを追い詰めるベテラン捜査官
冒頭で暴行殺人事件が起こる本作。捜査担当のFBI捜査官ボブ・ギャラットを通じてストーリーを追いかけることになる。若手の教官を兼任するだけあってボブの力量は確か。刑事としての勘は鋭く、仲間や部下からの信任も厚い。
射撃の腕も相当で、訓練中には100発100中、逮捕時にも逃げる容疑者の両腿を撃ち抜いて転ばせた。また腕っぷしでは若かりし頃のゴルゴながらも左頬に一発食らわせている。約20年後『13カウント』で世界ウェルター級チャンピオンのパンチを難なくかわすゴルゴ。ボブのパンチを受けてトレーンングをやり直したのだろうか。
約半世紀前における捜査手法
本作の発表は1973年、つまり50年近く前になるため「古いなあ」と思わせる描写も多い。特に暴行事件の捜査方法だ。暴行被害者である少女の膣内や下腹部から発見された精液により、血液型がAB型であることが報告されている。
現在なら即DNA鑑定にかけられるだろう。ゴルゴに対しても残されたタバコの吸い殻から血液型の鑑定を進めるが、こちらも現代なら以下同文だ。結局ゴルゴの血液型がAB型ではなかったことで釈放される。ゴルゴがタバコの吸い殻などもに注意を払うようになったのは、この事件が教訓になったのかもしれない。
愛犬にもヘッドショットを決めた理由
暴行事件の捜査に手を貸して自分へのマークを外した後、元KGBのスパイを暗殺したゴルゴ。「犯人は……わかっている」とボブはゴルゴの犯行を確信しつつも、「証拠も何もないが、な」と追及を諦めている。暗殺現場で1つ気になることがある。林の中に響いた銃声は続けて2発。
要するに元スパイとその飼い犬をほぼ同時に射殺したことになる。しかもどちらも眉間を撃ち抜いている。『守宮の盗聴』ではターゲットの希望に応じて、カラスや犬を殺していない。飼い主になついていた犬を放置するのは危険と感じたのか。それとも若きゴルゴの勢いか。
この作品が読める書籍はこちら
研 修治
最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第644話『心を撃て!』のみどころ - 2024年11月28日
- ゴルゴ13:第643話『怪力戦士イヴァノバ』のみどころ - 2024年11月11日
- ゴルゴ13:第642話『女の平和』のみどころ - 2024年10月1日