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簡単なあらすじ
SPコミックス第193巻収録。米大統領のアフガン訪問を狙い、アルカイダがゴルゴに大統領暗殺を依頼するとの情報が浮上した。米政府の狙撃顧問オズボーンは、アフガン訪問前にゴルゴを始末する手段として、国内最高のスナイパー2名を召集。必殺の狙撃チームを組織する。
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銃やメカニック好きは見逃し厳禁
「私にとって戦場は家のようなもの。私が家のように寛げる場所は二つ、湿った森の中と戦場の硫黄の煙の中だけです」かつて王立カナダ軍のスナイパーとしてアフガンに参戦し、2km先の標的を撃ち抜く高精度ライフル・マクミランTAC-50で幾多の敵を倒した男はこう言っている。
これを天賦の才といわずに何と言おう。ゴルゴを始め、今作に登場するスナイパーたちはこのように生まれついているのだろう。ハニカム構造の照準器の特徴や銃による射程の違い、さらにはハイテク機器の性能など、メカニック好きの人にはたまらない内容だ。

勝負を分けたワン・オペと組織の動きの違い
ゴルゴはM-16を使う理由について「俺は一人の軍隊だ」と言っている。いわばワン・オペである。警察のフィンチは「市街戦とは違うぞ」というスタンコビッチの忠告を理解していなかった。警察は圧倒的な物量で犯人を追いつめるから自分が狙われる可能性を考えない。
スタンコビッチは戦場での経験は豊富だったが、照準を定めた相手が不規則な動きをしながら、自分に向かってくる、などということを想定していなかったため、動揺してしまった。オズボーンはハイテク機器に頼るあまり、自然条件を利用したゴルゴの頭脳作戦に敗れたといえる
貴重な人材達を犠牲にした勘違い
最後の最後までゴルゴのメインの標的が判明せず、ついに、これか、と思ったところが、またしてもどんでん返しが待っていた。CIA副長官が、かつてゴルゴに煮え湯を飲まされたオズボーンを利用して、ゴルゴを足止めしようとしたのは、勘違いの無駄骨だった。
情報機関というのは、ここまで人を使い捨てるかと思うと、あの3人が気の毒である。スナイパーや優秀な軍人は一日にしてならず。彼らのような人材を育てるには経験値も必要だからだ。もっとも、そんな人材育成など、必要ない世界を作るのが、情報機関を含めた国家の役割なのだが。

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野原 圭

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