この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第192巻収録。鍼灸医学の国際基準をめぐって激しく対立する中国と韓国。韓国鍼灸学会の副会長・朴は、会長の金の手ぬるいやり方に納得できず、中国鍼灸学会会長の王の暗殺を企てる。しかしゴルゴに暗殺を依頼したものの、あっさり断られてしまい……。
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体も組織も治療は早期発見、早期治療
大きな病院のどの診療科へ行っても、検査の結果どこも悪いところはない。しかし、いつも何となく体の調子が良くない。病気ではないけれど健康でもない、この状態が未病と呼ばれ、一番やっかいな状態である。
この解決には西洋の医薬よりも東洋医学が有効である場合が多く、今回のテーマ「鍼灸」は東洋医学の中でも重要な治療法だが、その裏舞台の国際的かつ複雑な事情に迫る。未病はいずれ大病に移行する可能性も高い。組織の中に未病を抱えていると判断した金会長がゴルゴに依頼した大胆な治療法とは何か。最後まで目が離せない展開だ。
朴は「妻のトリセツ」を読むべきだった
「子供をお風呂に入れているとリンスするヒマもないわ」と妻が嘆く。夫はリンスしなくて良いようにリンスインシャンプーを買ってきた。さぞ喜んでくれると思いきや妻は激怒した。夫は極めて合理的な解決策をとったのだが、妻はゆっくりお風呂に入る時間が欲しかったのだ。
脳科学者・黒川伊保子「妻のトリセツ」には多くの男がいかに女の気持ちを理解しないかが述べられ、その解決策を提示している。朴も妻のことを考えないわけではなかったのだが、妻の気持ちが読めずに的をはずしてしまった。彼がこれを読んでいればと思うと残念である。
あっと驚く外科手術
鍼灸の分野でも国際的に主導権を握ろうと画策する中国に対し、日本も鍼灸の歴史は決して浅くないにもかかわらず「日本は危機意識が足りない、期待できない」という意味のセリフが随所にみられ、少々情けない気持ちになる。それにしても金会長は、東洋医学では考えられない荒療治にでたものだ。
人は見かけによらないというが、こういう穏やかな人のほうが、実は恐ろしいことを考えているということも充分あり得る。驚くべき依頼を受けたゴルゴは「私、失敗しないので」という米倉涼子さながらの見事な腕で金の大胆な外科手術を成功させた。
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野原 圭
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