【ゴルゴ13】ゴルゴ流・世界経済入門。金融市場を貫く神業スナイプを一挙紹介!

ゴルゴ13 名作エピソードまとめ

【ゴルゴ13】ゴルゴ流・世界経済入門。金融市場を貫く神業エピソードを一挙紹介!

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『ゴルゴ13』で経済や金融を学ぶ

超一流のスナイパー

小学館ビッグコミックに好評連載中の『ゴルゴ13』。さいとう・たかを先生やスタッフらの手により、なんと1968年から半世紀以上も連載が続いている。新型コロナウィルスの影響により、2020年5月に初めて休載となったことがニュースになるくらいだ。

本作は超一流のスナイパーであるゴルゴ13ことデューク・東郷(トウゴウ)―もちろん偽名―が、困難と思われる狙撃依頼を成し遂げる様を描いている。

そこに依頼人の様々な事情や時事ニュース、さらに実在の人物をモデルにしたと思われる登場人物が少なからず登場することで物語に厚みが加わっている。幅広いテーマを基盤にしている中で、金融や経済に関することも学習できる。

そこで今回は「企業競争」「資源問題」「金融・為替」「証券取引」の4分野に分けてゴルゴの活躍と背景を解説しよう。

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①企業競争編

日々刻々と変わる情勢下で多くの企業が厳しい選択を迫られている。コルゴへの依頼もその1つだ。

コピー天国を潰せ!

タイトルから「農業問題?」と思われそうな作品が第91巻収録の『黄色い害虫』だ。本作ではアメリカ製コンピューターのコピー商品を台湾マフィアが作っていることが判明して、マフィアのボスを暗殺する依頼がゴルゴに舞いこむ。

現代の台湾がコンピュータ関連の輸出大国となっているのは周知の通りながら、本作の発表は1989年。まだまだ違法コピー商品がはびこっていた時期だ。

法はあっても取締りの甘い中国では現在でも違法コピーが溢れている一方、民主的な法治国家として制度を整えつつある台湾はIT産業国に生まれ変わりつつある。その一因にゴルゴの活躍があったのかもしれない。

未来の自動車は?

第126巻収録の『ゼロ・エミッション 排ガスゼロ』では自動車業界の競争を描いている。水素エンジン実用化の技術流出を危惧した日本の自動車メーカー「サワダ」の沢田社長が、水素エンジン研究者の暗殺を依頼するためゴルゴにコンタクトを取る。

発表が1997年とあってか、日本、フランス、アメリカの自動車メーカーがしのぎを削る様子が描かれている点が興味深い。もう10年も後であれば、インドや中国が乗り出していた可能性が高そうだ。

沢田の依頼を断ったゴルゴだが、結果的に狙撃を実行し水素自動車を炎上させている。ゴルゴに狙撃を依頼したのは……。あえて伏せておくが、読めば「なるほど」と思うだろう。

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中国進出は是か非か

間違って逮捕された容疑者の疑惑を払うため、期せずしてゴルゴが狙撃を再現する第168巻収録『リプレイ』。その華麗な手口に目を奪われがちだが、当時のIT産業が抱えていた状況も見逃さないようにしたい。

業界トップに君臨するソフトマクロ社の社長は、その座を脅かすライバル企業のララックス社の経営者暗殺をゴルゴに依頼する。しかも他人を巻き込まないエレガントなスナイプとの要望付きで。

その一環で話題にあがるのが中国への共同進出だ。本作が発表された2006年は中国にまだまだ夢を抱くことができた時期。その夢が裏切られるのは、現代に生きる私達なら常識だ。ライバルを蹴落としたソフトマクロ社は単独で中国進出を果たしたのだろうか。

②資源問題編

多くの産業にとって資源は欠かせない。それだけに争いの種になることも多い。

貴重な資源が眠る海

資源と言えば、かつては地面なり山なりを掘って取り出すものだった。しかし第162巻収録の『海の鉱山』ではホヤを利用した資源(バナジウム)の採集方法に焦点が当たっている。

当初、ゴルゴへの依頼はスペイン過激派メンバーの殺害だった。ただし、あっけなく完了できた依頼にゴルゴが疑念を抱いたことから、鉱山用の重機に使う巨大タイヤ企業、そしてホヤを使った海の鉱山を経営するアメリカ企業にたどり着く。

最初から素直に目的を明かしていれば、真の依頼人がゴルゴに殺されることはなかっただろう。変に企業機密として隠したことから、自らの死につながる最悪な結果になってしまった。

日の丸油田にかける男

争いを好まない国民性もあってか資源獲得競争では一歩も二歩も遅れをとることの多い日本。第178巻収録の『魑魅魍魎の井戸』では、日の丸油田の権利獲得に情熱をかける日本人技術者が登場する。

こちらも技術者に扮して登場したゴルゴは、本職すら舌を巻く知識や判断力を披露している。その後、日本人技術者とともにテロリストに誘拐されてしまうのだが、それも予測のうち。依頼に基づいてテロリストの真のボスを見事に狙撃している。

ラストシーンは日本人技術者達が自前の油田の発掘に成功して喜ぶ場面が描かれており、「日本にとって石油は血液と同じ」の言葉が重く響いている。

アメリカとフランスの利権争い

アメリカとフランスの石油利権をめぐる争いにゴルゴが巻き込まれる展開が第153巻収録の『ラストグレートゲーム』で描かれている。「きれいごとでは済まない」のようなセリフはどこにでも出てくるものだが、資源戦争が表立った争いだけでないと言うのが十分に分かる内容だ。

南海の孤島で偶然命の危機を救われたゴルゴは、恩人の正体を知った後、全力を尽くしてフランスの特殊部隊であるGIGN(国家憲兵隊治安介入部隊)から恩人をガードしている。

その後、アメリカは自らの権益を守るためにイラクへの武力行使につながっていくのだが、これはまた別の話。まさにきれいごとでは済まない結果となっている。

③金融・為替編

複雑さを増す一方の金融や為替の世界。リセットするためにもゴルゴの存在は貴重だ。

巨額なヘッジファンドの闇

為替市場におけるヘッジファンドの世界を舞台とした作品が第113巻収録『砂上の帝国』だ。巨額のブラックマネーを抱えたロシアンマフィアとソビエト科学アカデミー随一の天才が組んだことで為替市場に混乱が巻き起こる。そこにゴルゴの出番がある。

話中においてロシアンマフィアが当時のヘッジファンド運用総額を1兆5000億ドルと述べている。本作の発表が1995年であることを考慮すると、現代ではその何倍、何十倍に膨らんでいる可能性がありそうだ。

自らの資産運用を任せている銀行の頭取から依頼を受けたゴルゴは、スイス連邦警察のベテランに一歩先んじて2人のターゲットを狙撃していく。それでも為替市場の混乱が収まらないのは仕方のないところか。

リーマンショックとは?

2008年12月に発表された179巻収録『恐慌前夜』では、同年のリーマンショックを題材にしたタイムリーな作品だ。サブプライムローン、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などの用語を含めて、当時の推移を分かりやすく描いている。

アメリカ政府のボルトン財務長官直々に依頼を受けたゴルゴは、政府の方針に反対していた大手保険会社の代表を狙撃する。それでもゴルゴのセリフ、「恐慌は人の心から生まれるもの」が当たってしまう。

皮肉なのは“死神”と呼ばれたファンドの運用主が証券会社のメールマン(郵便物などを運ぶ係)だったこと。しかし彼がアフリカに送った金で少なからぬ人々が救われたのはホッとする。

国家ぐるみの犯罪の行方

第150巻収録の『宴の終焉』に登場するシェンロン社。2001年に破たんしたエンロン社がモデルとなっているのは言うまでもない。そうした巨大企業の不正疑惑とケイマン諸島の金融特別区を利用した一部特権階級が描かれている。

ブッシュ・ファミリーをモデルとした大統領一族まで絡んだ疑惑に、会計監査院やFBIの下っ端職員が違法行為をしてまで奮戦するものの、工夫を凝らしたゴルゴの一撃で大事な証拠書類は灰となってしまう。

つまり本作におけゴルゴは不正の隠ぺいに加担する悪役側だ。それでも最後になって隠し切れなかった膿(不正)が溢れてくるのは現実と変わらない。

④証券取引編

株式投資が手軽になったからこそ多くの人に影響を与えている。欲望に踊らされる人々をゴルゴはどう見ているのか。

プログラマーの復讐

かつては相場師が活躍していた株式市場ながら、現代では88巻収録『プログラム・トレーダー』のように金融システムの専門家が幅をきかせている。もっとも失敗1つでクビになるシビアな世界でもある。

本作ではM&A(企業買収)をきっかけとして株式市場を混乱に陥れようとするプログラマーと彼が操作するコンピューターが、ゴルゴのターゲットとなっている。もちろん2発必中だ。

なお本作ではゴルゴが預けている資産の運用報告がなされている。運用を任せた一任勘定口座の年利回りはなんと26%!これは1990年の出来事と言ってもうらやましい限り。

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空売りの危険なネタ元

投資判断を下すために様々な情報が重要なのは言うまでもない。175巻収録『殺人投資』ではゴルゴの暗殺計画すら投資に利用するファンドマネージャーが登場する。ゴルゴファンであれば、「随分危険なことをするな」と思うだろう。

政府機関や諜報機関に所属する末端職員から得た情報を元に投資するファンドマネージャー。明らかに違法なやり取りにながら、それが殺人ともなれば作中に登場する男が、「化け物だ」と評するのも当然だ。

結果的に末端職員もろともファンドマネージャーはゴルゴに殺されてしまうのだが、そんな情報もどこからか漏れていて一儲けした投資家がいるのかもしれない。

人が相場を動かした時代

第11巻収録の『ROOM・No.909』では、株式市場の番人でもあるアメリカ証券取引委員会からゴルゴが依頼を受けている。株式市場を強引に操作することで企業買収を繰り返していたマフィアの大物が、ゴルゴのターゲット。

そんな株式市場が現代と大きく状況が異なるのは、本作が発表されたのが1971年だから。つまりコンピューターやAI(人工知能)などはまだまだ未来の話となっており、人や金の力で相場を動かせた時代の話だからだ。

本作のゴルゴはらしからぬミスをしてしまうのだが、ゴルゴにも若い頃があった。株式市場にもそんな時代があったと思って読むと楽しめると思う。

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まとめ

今回取り上げた12本以外にも『BEST BANK』『凍った炎』など、経済や金融分野をテーマにしたゴルゴシリーズは数多い。

お仕着せの学習漫画と異なり、すんなり頭に入るようになっているのは、さいとう先生やスタッフの苦心の結果だろう。

半世紀以上の長きに渡って連載されてきたゴルゴ13シリーズ。昭和後半からの経済や金融史を知るうえでも格好の教科書と言えそうだ。

ゴル子
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研 修治

漫画をはじめ金融、経済、エンタメ、飲食分野を得意とする専業ライター。紙媒体、WEB媒体問わず幅広く活躍中。
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