この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第126巻収録。サワダ自動車のエンジニア、立石と乾。彼らは排ガスゼロで水素を燃料とする新型エンジンの開発に成功。が、旧態依然とした社の意向により退社を余儀なくされた二人は、新型エンジンをフランスの自動車メーカーに売り込む。自動車業界の勢力図が一変する発明を流出させたくないサワダ自動車は、二人の抹殺を企てるが……。
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自動車メーカーものがアツい
某大臣ではないが、ゴルゴの自動車メーカーものを読むことで世界経済や国際関係の一端を垣間見たり、情報整理ができるのはありがたいことである。ゴルゴが仕事がら自動車に触れることが多いのは言うまでもなく、ゴルゴ自身の華麗な運転テクニックや見るたび車種が変わる様子からからしてゴルゴシリーズの自動車への愛着の深さはあきらかである。
そんな(?)縁もあってか2016年には、ゴルゴがボルボ・カーズ・ジャパンの”最高安全責任者”に任命されている。自動車メーカーものは本作以外にも『キメラの動力』『アジ・ダハーカの羽』『凋落した名車』など多種多様。車好きな方はぜひご一読あれ。
夢の動力水素エンジン
ガソリンと違って燃料はいくらでも取れる水素、排出されるのは真水のみという夢の水素エンジン。本作が描かれた1997年当時はまさに夢の動力源であった。その後、水素エンジンはどうなったか。
20数年を経た2019年現在で水素エンジンは次世代動力源としては、注目されているとはいいがたい。同じ水素を燃料にする”燃料電池車(FCV)”が優勢で実用化されている。また動力・燃料もさることながら、各メーカーが自動運転技術の向上へ開発・投資の軸足を置いていることもあり、そのあたりのエピソードも今後の期待をするところである。
サワダ自動車と澤田自動車
ホンダ自動車を思わせるサワダ自動車は『F-1サーカス』でも登場する。『F-1サーカス』では漢字表記の”澤田”自動車であり、ゴルゴへの依頼人として登場する社長も、おなじ“さわだ”ながら全くの別人である。
どちらも創業社長と思しき人物であるが、本作のサワダ社長はエミュー独走阻止のために、非情な手段を考える攻撃的な人物。対して『F-1サーカス』の澤田社長は、自社へのバッシングを避けるために、絶好調のF1レースで自ら負けるように部下へ指示する調和型な人物である。二人のキャラクターを対比しながら読み進めるのも趣きがある。
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片山 恵右
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