この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第114巻収録。往年のスター歌手、エルマン・プレイリーは、ベトナム帰還後からベトナムでの悪夢に悩まされ、歌手としての情熱を失ってしまっていた。毎日のようにコールガールとの乱痴気騒ぎに興じるプレイリーをみた妻のパティは、プレイリーとの生活にけじめをつけるべく、ゴルゴにある狙撃を依頼する……。
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モデルとなったスーパースター
「キング・オブ・ロックンロール」とも呼ばれたスーパースターのエルビス・プレスリー。本作に登場するエルマン・プレイリーのモデルであるのは言うまでもない。
ただし、エルビスが従軍時に戦場に行く機会がなかったのに対して、本作のエルマンはベトナムの最前線に行ったことになっている。
『兵士は森に眠る』『禁じられた言葉』でもベトナム戦争でトラウマを抱えたキャラクターが登場。『禿鷲伝説』ではゴルゴのルーツと疑われた東堂高志もベトナム戦争に赴いている。果たしてゴルゴはベトナム戦争でスナイプしたことがあるのだろうか。
完全に脇役となったゴルゴ
本作でゴルゴが登場するのは、PART6「ミス・ショット!?」の4ページのみ。しかも双眼鏡や銃のスコープから自宅のプールで遊ぶエルマンらを覗き見るコマなどもあり、ゴルゴ本人が描かれているのはわずか5コマに過ぎない。
さらに普段から寡黙なゴルゴは本作では一言もしゃべらず、唯一のフキダシも「……」となっている。
ゴルゴの派手な活躍を楽しみにしているファンには物足りないかもしれないが、スーパースターであるエルマン・プレイリーが復活した陰にはゴルゴがいた。そんな秘話として楽しむストーリーなのだろう。
女は弱しされど母は強し
「レ・ミゼラブル(ああ無情)」などを書いた作家、ヴィクトル・ユーゴーの言葉で、ゴルゴに依頼を行うエルマンの妻であり一女の母でもあるパティを見ると納得できる。
エルマンがお守りとして肌身離さず持っているコインのチェーンをゴルゴに狙わせた後、大事なコインが体から離れて気落ちするエルマンにハッパをかける。
こうした言動をエルマンの側近が愛情と勘違いしたのも無理はない。しかし彼女は、「彼と別れるための……“女の意地”よ」と言い切って去っていく。スーパースターの奥さんともなれば、このくらいの女性でないと釣り合わないのだろう。
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研 修治
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