この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第15巻収録。昔、長谷川家で中間を努めていた久助が、十五年ぶりに平蔵を訪ねてきた。なんでも平蔵の亡父・宣雄には愛人に生ませた隠し子がいて、その隠し子が地元の顔役に脅されて危機に瀕しているという……。平蔵の血をわけた妹・お園が初登場するファン必見のエピソード。
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木村忠吾と小柳安五郎の差
夜鴉の仙之助の捕縛から始まる本作。捕り物の場面で仙之助に鍋をぶっかけられてひるんだ木村忠吾は、仙之助が縄でくくられると、「じゃかあしいっこの悪党がっ」と顔面に拳をくらわせている。
強いものには弱く弱いものには強い忠吾の性格がまざまざと描かれている。そんな忠吾の危機を救ったのが小柳安五郎だ。
短刀を抜いて忠吾に切りかかろうとする仙之助の右腕を鉤縄(かぎなわ)で絡め取ると、すぐさま捕り方に命じて仙之助を捕縛させている。小柳の人となりの良さは『あきれた奴』でも描かれている。お園と夫婦になるのも必然だろう。
鬼の平蔵が見せるまぬけ面
そんな荒事の後、かつて長谷川家に仕えていた久助が役宅を訪れたことで物語が急変する。柿、栗、まつたけなどの味覚とともに久助が持ち込んだのが題名にある隠し子の話だ。
当初、久助自身の隠し子と思った平蔵は鷹揚に構えたものの、「手前に隠し子などございません」と言われて、何か思い出したのか慌てて障子を閉めてから、「ま、まさか……俺の子かっ」と冷や汗をかいている。
そこで久助が、「いえ……」と答えた際の平蔵のまぬけ面は必見。その後に父親である宣雄の子供と聞かされて二度驚くのだが、こちらは仕方のないところか。
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互いに見つめる顔と顔
根津権現の門前町へ久助に連れられてお園の店である“みつぼ”に向かった平蔵。少し離れた場所からお園を見た平蔵は、「似ているな」と父親の面影を感じる。
さらにお園も平蔵を一目見て、「以前に、どこかでお会いしたような……」と話しかけている。もちろん平蔵とお園は初めての顔合わせ。やはり父である宣雄の面影を平蔵に見つけたのだろう。
そんなお園は小柳と夫婦になり、『おさな馴染み』では板橋に住む久助を訪ねている。本作ではともに三十過ぎながらも初々しかった二人が、すっかりなじんだ夫婦姿となっているところに年月の隔たりが感じられる。
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研 修治
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