この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第11巻収録。株価を操作するマフィアを葬ったゴルゴ。捜査にあたったニューヨーク市警の刑事達は、弾道検査で狙撃場所を特定。ゴルゴが借りていた部屋に辿りつき、証拠の銃も発見する。しかし部屋は現場から500メートル以上離れており、狙撃時は6.2メートルの横風が吹いていたことが判明。はたして刑事達はゴルゴの犯行を立証できるのか……?数少ないゴルゴの失敗シーンが収録されたエピソードでもある。
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ゴルゴの神狙撃と彼らしさに注目
本作を語る上で外せないのは、やはりゴルゴの見せる神狙撃に他ならないだろう。様々な悪条件の中、ターゲットを仕留めることで警察からも立証不可として解放されるほどである。これほどまでにゴルゴらしい解決策もないだろう。
狙撃後の猫が発した物音に敏感に反応し、戦闘態勢をとる姿もゴルゴらしくてよい。だが本作のゴルゴは徹底的についていない。運に見放されている。『ロックフォードの野望 謀略の死角』での彼の台詞にある通り、40%の運が味方しなかった場合、ゴルゴがどのように残り60%で切り抜けるのだろうか。
ゴルゴらしい解決策
冒頭から猫が3コマに渡って描かれるがよもや読者はこれが伏線とは思うまい。つまりゴルゴの不運の始まりである。突如の銃声に居合わせた猫が驚き、物音を立てたせいで薬きょうを落としてしまう。そしてそれを偶然、麻薬常習者が拾い上げ、さらに運悪く巡回するポリスが麻薬常習者と会話し回収するという不運の連鎖だ。
最大のみどころシーンは証拠が出揃って絶対絶命と誰もが思う中での逆転劇だろう。読者の誰もが犯人を分かっている中、ゴルゴ本人は冷静にその証拠を否定していく。彼の台詞も読んでみると「なるほど」と説得力のあるものとなっている。目から鱗となる読者も多いはずだ。そして極めつけはゴルゴの狙撃が人間には不可能なため警察が諦める、という痛快な逆転劇を楽しめる作品になっている。
ゴルゴを追い詰めるサムとエディ
登場人物で注目したいのは、ゴルゴを逮捕ギリギリまで追い詰める警官・サムとエディである。現実的な目線を持つエディと理屈以外でも動くサムのコンビが少しずつ証拠を集め、ついにはゴルゴにそれを突き付けるシーンもみどころの一つと言えるだろう。
そして自ら負けを認める”ノットギルティ”発言のシーンだ。証拠が出揃い、あと一歩でゴルゴ逮捕となるも、裁判でそれを立証できないことを自ら悟る。エディが証拠の銃を地面に叩きつけるなど、彼らの無念さがよく伝わってくる場面となっている。
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小摩木 佑輔
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