この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第11巻収録。商社を経営するハシェルは副社長時代、ブードゥー教の殺人呪術を利用して社長を殺害し、自身が社長の座に居座った。その事をネタにブードゥー教の呪術者オルガから恐喝されたハシェルは、オルガの抹殺をゴルゴに依頼する。しかしオルガはゴルゴにも呪いをかけたため、ゴルゴは原因不明の熱病に冒されてしまう……。脚本:K・元美津
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リアリストvs呪術師
ゴルゴは徹底したリアリストである。彼が呪いという非現実な存在と対峙したとき、どのように接するのだろうか。呪いという信じ難いものならば、超現実主義のゴルゴは歯牙にもかけないと思いきや、現地の呪術師に真摯に教えを請うなど情報収集に余念がないのだ。
どんな相手でも事実に基づいて情報を集め、自分なりの仮説を立て精査する。同様の作品としては『テレパス』があるが、こちらもゴルゴの超能力に対峙する姿勢が興味深い。

呪術師オルガ
登場人物で注目したいのは女呪術師・オルガだ。その名前を出すだけで地元民は恐れおののき、暗殺の依頼すら引き受けてもらえないほどである。
シリーズ初となるオカルト・キャラクター。地元の呪術師もオルガの呪いだけはお手上げと匙を投げるほど強力な呪術師として描かれているのだ。ゴルゴを呪いによって生死の淵へ追いやり、彼を殺そうと思えば殺せる状態まで持っていく呪力は折り紙付きだ。このミステリアスな標的をゴルゴはどう攻略するのか……。
呪いをどう打ち破るのか
本作の物語を語る上で“呪い”を外すことは出来ない。クライアントに出会って早々に体調不良となるゴルゴ。この展開には呪いのトリックを暴いてやろうと意気込む読者も驚愕するはずだ。
何故ならゴルゴは船上という名の密室にいて、船から降りて早々に発熱している。トラップ(罠)にかかった描写がないからだ。本作では随所に前述のような不確かな要素が散りばめられている。本当に呪いが存在するのか。ではその打ち破り方はどうなるのか。結末を読まずにはいられない一編なのだ。

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小摩木 佑輔

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