この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第58巻収録。KGBの「エスパー計画」が生んだ心霊兵器・アンナ。CIAの依頼によってソ連大使館のゴドノフの暗殺に向かったゴルゴだったが、アンナのテレパシーの前に狙撃を2度にわたり阻止されてしまう。不敗伝説に傷をつけられたゴルゴは、自身のプライドをかけて打倒アンナへ動き出す……。脚本:きむらはじめ
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超能力者 VS 超人
ゴルゴは”超能力者”ではなく”超人”と呼ぶべきであろうか。明らかな”超能力者”であるアンナを相手にした場合、さすがにゴルゴでも分が悪かった。
なにしろ遠方からの念慮を感じ取ったり、睨みつけるだけで相手に心臓発作を招いたりすることができるのだ。続けざま2弾の狙撃ミスも仕方ないだろう。さすがのゴルゴも動揺が隠し切れない。
しかしそこからの巻き返しが素晴らしい。ヨガ的アプローチで念をコントロールすることは師から断られたたが、結局、高度な自己催眠で念を消すという技術を短期間で習得してしまったのだから感服せざるを得ない。超人であり達人である。

ヨーギ・パラバ館長という人物
ヨガが日本で主に”ヨーガ”と呼ばれていたころのエピソードこともあってか、ヨガの達人”ヨーギ・パラバ館長”がややオカルトチックに描かれている。
しかし館長の語るヨガ理論は正統王道のヨガ理論である。しかも一目でゴルゴの職業や修練度合を見抜くのだから、見掛け倒しではないホンモノだ。後年『震える修験者』でゴルゴが教えを乞うた実雲老師と通じるものがある。
実雲には土下座をして弟子入りを志願しているゴルゴが、パラバ館長にはなぜか横柄な態度である。なお、”ヨーギ”とは”ヨガをする人”を表し、女性の場合は”ヨギーニ”と呼ばれる。
狙っていた?アンナの死
アンナの死は偶然なのかおまけなのか。あくまでもターゲットはゴドノフである。狙撃しているのもゴドノフのみで、遊覧船への砲撃はゴドノフを炙り出すためだけであった。
もしも遊覧船への砲撃でアンナへのダメージが不十分であった場合、ゴルゴはアンナを狙撃したのだろうか。ゴルゴとしては煮え湯を飲まされている強敵なので狙撃したであろう。
そうなった場合、すでに気を顕わにしてしまった後なので、第二の狙撃の難易度は非常に高くなったはずである。そこからの超能力者VS超人の死闘も見たかった。なお超能力に題を取ったエピソードには70巻『心霊兵器』もあるので興味のある向きにはぜひ勧めたい。

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片山 恵右

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