この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第110巻収録。ハイウェイで大規模な交通事故が発生した。この事故に巻き込まれたゴルゴは、右腕前腕部を負傷してしまう。医者の見立てでも「治っても、せいぜい手首を曲げられるようになるだけ」という致命的な傷を負ったゴルゴは、“天使の腕”の異名をとる名外科医ヤン・リー・カッターを探し出し、強引に治療を迫るが……。脚本:木村睡蓮
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ゴルゴの依頼におけるルール
本作はいろいろな面からゴルゴの信条を垣間見られる内容となっている。冒頭で依頼を受ける場面で依頼人にゴルゴが、「いいか、仕事が完了するまでよけいな事はするな」とさらに、「わかったな……?」とも念押ししている。
その後、依頼人は狙撃を他言するというルール破りをしており、それを見抜かれたゴルゴに狙撃されてしまう。ゴルゴのルールをそれなりに知っていた様子があるものの、ゴルゴが去った後で、「ちっ、黄色人種(イエロー)が!」とつぶやいている。依頼人のそうした浅薄さをゴルゴは感じ取ったのかもしれない。
ゴルゴは恩を返したのか
物語の最初に起きた事故で自分の右腕に怪我を負ったゴルゴは名医であるヤンに治療を頼むのだが、そのヤンとターゲットとの関係を知ったゴルゴは不思議な狙撃を行っている。
狙撃後にヤンが、「私への“義理”から“左腕”で……“仕事”をした……のじゃあないだろうか……?」と戸惑いながら言うのに対して、彼の幼なじみは、「あんな奴らが“義理”とか“恩義”なんか感じるものかよっ」と言い捨てている。ゴルゴファンであればヤンの肩を持つはずだ。事実『甦るスタンディング・ベア』『冥王の密約』などでは恩人の依頼を無料で請け負っている。
ある名人は別の名人を知る
本作でぜひ見て欲しい場面がある。右腕を怪我したゴルゴはヤンに診察を頼むのだが、「あんたに、噂通りのウデが……本当にあるのかどうか、この“手”で確かめたい」として、ヤンが差し出した両手をゴルゴは左手で触れている。触れられたヤンは、「な、なんだっ!?今の感覚はっ」と驚愕する。
ゴルゴが名医の腕前を悟ったように、触れられたヤンも何か感じ取ったようだ。それがスナイパーと分からなかったのは人生経験の差に違いない。『生存確率0.13%』などの例外はあるものの、めったに握手をしないゴルゴの手のひらはどんな具合なのだろうか。
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研 修治
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