簡単なあらすじ
SPコミックス第53巻収録。かつて命を助けられたネイティヴ・アメリカンのネ・ぺルセ族に、ゴルゴが恩返しをするエピソード。居住区内でウランが採掘されたことがきっかけで、アメリカ政府から土地の売却を強いられたネ・ぺルセ族。
守銭奴クロー・ドッグの強引な商談に次々と賛成派に鞍替えする部族民たち。そんなとき、部族を救うと言い伝えられる伝説の勇者スタンディング・ベアが現れたのだった……。
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ゴルゴを追い詰めた集団とは?
ゴルゴが無償で仕事を引き受けることがある。『冥王の密約』『黄金の男』のように危ないところを救われた恩返しだ。
本作でも重傷を負って追われていたゴルゴをかくまい、看病したインディアン(ネイティブアメリカン)の酋長であるオールド・クラウドの頼みを引き受けている。
オールド・クラウドによれば、ゴルゴを助けたのは2年前とのこと。本作が1980年12月発表なので、さかのぼれば1978~79年頃となるが、それらしき作品は見当たらなかった。ゴルゴを瀕死のところまで追いつめた十数人の男達とは誰なのだろうか。

伝説の大酋長に仮装したゴルゴ
約束を守って現れたゴルゴにオールド・クラウドは、「友よ」と迎える。その後にどのような依頼があったのかは描かれていないものの、祭りの夜に現れたゴルゴを見ればおおよその見当はつく。
誰も乗りこなせなかった荒馬レッド・ムーンにまたがったゴルゴは、背中まで伸びた羽飾りを被り、X状のベルトと腰布、ブーツのみを身につけて登場する。十分に威嚇した後、ライフルで裏切り者の眉間を撃ち抜くと切り立った崖をも登って去っていく。
最後のコマでは顔にペイントを施しているのも分かる。ゴルゴが“どや顔”をしているように見えるのは私だけだろうか。
現在も続くインディアンの苦境
アメリカ大陸におけるインディアンの苦境は、作中でオールド・クラウド達が語った通り。黒人がどうとか人権がこうとか言ったところで、インディアン達に借りを返すことがなければ、全てたわごととみなしても良いだろう。
本作の最後には、インディアンが保留地の売却に反対したことからウランの採掘が滞っていると書かれているが、保留地周辺でウラン採掘が行われることで自然破壊や放射能汚染につながっている現状もある。
我慢しきれなくなったインディアンによってウラン鉱山の開発者に対する暗殺依頼がゴルゴになされないことを祈るばかりだ。

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研 修治

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