この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第100巻収録。とある酒場に立ち寄ったゴルゴ。偶然、ゴルゴを発見した麻薬組織の幹部・ロドリゲスは、兄の仇・ゴルゴ13を抹殺するべく襲撃する。武器を持たないゴルゴはひとまず逃走。が、その最中、崖下へ転落し生死の境を彷徨うことになる……。子供に優しいゴルゴを見るなら、このエピソード。
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アメリカのATMとなる日本
在日米軍の駐留経費、つまり思いやり予算などから日本のことをアメリカのATMと揶揄する声がある。もっとも戦後の経済援助などを考えれば、日本は中国や朝鮮半島のATMともなっている。本作では、警視庁と思しき建物で日本の警察関係者らがアメリカのCIAとDEA(司法省麻薬取締局)職員の二人と話し合う場面が描かれている。
二人はコロンビア麻薬組織の壊滅を目的として、新たな組織のボス暗殺にゴルゴを雇おうと誘う。しかしCIA職員は、「プロを雇う資金を出す余裕がありません」と吐露している。ここでもアメリカのATMとなる日本がいた。
藪を突いてゴルゴを出す
結果的に日本やアメリカからの依頼が無いままにゴルゴは麻薬組織のボスを殺している。これは誘拐された子供を助けることと、ゴルゴ曰く、「やつらには俺個人の貸しがあるんだ」によるもの。その前にゴルゴが回想する形で麻薬組織のメンバーから不意に襲われた経緯が明かされている。
おそらくゴルゴの顔を見知っていたメンバーが手柄欲しさか、何らかの危機を察してゴルゴを襲ったらしい。地球の反対側で企てられていたボスの暗殺計画を察したとは思えないが、武器を持たないゴルゴを襲ったのは好判断だった。惜しくは詰めが甘かったことだろう。
ゴルゴの配慮は子供への優しさか
子供を助けるため、そして襲われた貸しを返してもらうために組織の本拠地に忍び込むゴルゴ。ここでゴルゴは意外な行動をとる。部屋の中にいるボスと仲間を視認したゴルゴは、まずテレビの画面を銃撃してブラウン管(本作は1992年発表)を爆散させる。
顔面にガラスを浴びたボスは悲鳴を上げながらベランダに飛び出してくるが、そこを射殺する。もちろん仲間も別の一発で仕留めている。なぜそんな手間のかかることをしたのか。部屋に一緒にいるであろう子供に人が撃たれる場面を見せない。そうゴルゴが配慮したとは考え過ぎだろうか。
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研 修治
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