この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第120巻収録。セルビア人過激派により米軍ヘリが撃墜された。捕らわれた兵士・ホロニックの救出をめぐり、米大統領選に出馬しているマッケンジーとオニールが水面下で火花を散らす。ホロニックを救出して大統領選を有利に運びたいマッケンジーは、特殊部隊を組織しボスニアに投入するが、その中にはゴルゴの姿が……。脚本:国分康一
スポンサーリンク
あの総理や財務大臣も登場
アメリカ合衆国の第42代大統領ビル・クリントン氏。本作では明らかに彼と思しき風貌をした大統領が登場するものの、名前はマッケンジーとなっている。
対抗馬として共和党のドール候補やコリン・パウエル氏らしきキャラクターも出てくるが、こちらもオニール、メイソンと名前を変えている。
ゴルゴシリーズで著名人を登場させる際には、顔こそ似せているものの偽名を使うことが少なくない。『地獄のダンサー』では高津財務相が『The Great Game』には安川首相が登場するが、描かれた顔を見れば麻生財務相と安倍首相であるのは明らかだ。

現在も続く民族の虐殺
本作で舞台となっているのは東ヨーロッパにあるボスニア。冷戦後にユーゴスラビアから独立したものの、民族間の内戦がようやく落ち着きつつある1996年頃を描いている。
落ち着いたと言っても、人の恨みがそう簡単に消えるわけもない。漫画では第二次世界大戦におけるクロアチア人によるセルビア人らの虐殺について触れている。
殺されたセルビア人の数を聞かされたアメリカ兵も、「七十万人っ!!」と驚いているものの、彼同様に知らない読者も多いだろう。現在でも中国によるチベットやウイグルの虐殺が続いている。そうした事実に無知な罪は小さくない。
生き残った二人の兵士の行く末は?
アメリカ兵の救出のために結成された5人のチーム。その一人となったゴルゴは、当初は正体不明だった裏切り物を殺して目的を果たしている。
しかし一人の救出に対して亡くなったメンバーは3人。単純な算数ではマイナスだ。ゴルゴに対して、「ちゃんとついてこいよ、黄色いの」とさげすんでいた兵士が救出チームで生き残った一人だったのは皮肉と言うよりない。
また、ゴルゴ達に救われたアメリカ兵も事実を知って、「い、いやだ……ア……アメリカなんてっ!!」と拒否感を示している。果たして彼らに平穏な未来は訪れるのだろうか。

この作品が読める書籍はこちら

研 修治

最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第647話『コウモリ女』のみどころ - 2025年3月12日
- ゴルゴ13:第646話『医務官手帳』のみどころ - 2025年1月29日
- ゴルゴ13:第645話『破綻の先に』のみどころ - 2025年1月14日