この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。才能豊かな若手暗殺者・デビッド。だが心根の優しいデビッドに対し、組織は試練を与える。それは彼が愛する女性・アバの抹殺指令だった…。悩みながらも運命にしたがうデビッド。そんなとき、アバとゴルゴの密会現場を目撃し…。
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事件の引き金は美女
サブタイトルでシリーズ屈指の名作『海へ向かうエバ』を思い出した人も多そうだ。展開は全く異なるものの、美女がキーパーソンとなる点は似ている。ちなみにヒロイン兼依頼人の名前は一文字違いの“アバ”だ。美女が依頼人の場合、ゴルゴとナニすることが多いものの、本作ではカフェで依頼を受けたのみ。
むしろアバは若くて腕利きのスナイパーであるデビット相手にベッドテクを披露している。デビットがボスに自分を殺すよう依頼されたと気づきつつも、大胆に行動するアバには舌を巻いてしまうが、エバも最後は大胆な行動をしていたことを思い出す。

スナイプ勝負はゴルゴの圧勝
アバの意図を勘違いしたままのデビットは、ゴルゴが自分を狙っていることに気づいた瞬間、自分の右腕を撃ち抜かれる。その直後にもデビットは「どうして…」と言っていたことから判断すると、最後までアバの考えを誤解し続けていたようだ。
足場のしっかりした灯台の踊り場からライフルで下方を狙ったデビット。不安定な岩場からいつものM16で上を狙ったゴルゴ。狙撃条件だけを見ればデビット有利ながら、デビットはゴルゴに向けて引き金を引くことすらできなかった。狙撃の腕はもちろん、状況判断でもデビットはゴルゴに遠く及ばなかった。
ターゲットは生き伸びるか?
本作と同様に、ターゲットを傷つける依頼は少なくない。『幻のジゼル』ではバレリーナのヒールを狙撃して怪我をさせ、『ドッグマンの鼻』では官能師(香りの専門家)の嗅覚を強烈な匂いで台無しにしている。また『ルート95』ではゴルゴの判断で殺し屋の左腕を狙撃するだけにしている。
アバの依頼に応じて、デビッドの右腕を撃ち抜くだけに留めたゴルゴ。致命傷には思えないが、ショックで放置したため出血多量で死に至りそうなセリフもある。ゴルゴに対して「俺は貴様を許さない」と叫ぶデビット。その一念で生きながらえるのだろうか。

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単行本未収録作品です。2023年6月現在、ビッグコミック本誌でしか読めません(kindle版あり。すぐに読めます)。
第626話『海を見ていた女』掲載号

研 修治

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