この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第136巻収録。休暇を過ごそうとサウスパシフィック共和国を訪れた、ジャーナリストのハルク。そこで共和国の外務院福院長・ロゼッタと、アメリカの核問題ロビイスト・アレンシスの密会現場に出くわす。ロゼッタはフランスの核実験場に隣接する自国の立場を核保有国と同等にするべく、海中のウランを回収していたのだった……。
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リアルとフィクションが混ざり合う
自分がこのエピソードを読んだのは近年、もっと言えばコロナ禍に入り、不織布マスクがより身近になってからだ。そのためか、このエピソードを読んで最も印象的だったのは、不織布を海に浸しておくことでウランが回収できるという箇所だ。
てっきり現実の技術なのかと思ったが、少し確認をしたものの不織布を用いて海中の放射性物質を集めるというのが現実の技術かどうかは判らなかった。ゴルゴ13を読んでいて、このように現実と空想が混ざる瞬間は多々ある。読んでいてハッとさせられる瞬間が好きだ。
ベーシックな狙撃を大きく描く
このエピソードは当時の社会情勢や小国の心境をリアリティ豊かに描いていて興味深いものの、ゴルゴの狙撃自体には特筆すべき点はない。しかし、ゴルゴにとってのミラクルショットというわけでもないのに、狙撃シーンのコマが1ページすべて使って描かれているのだ。そのせいか、不思議に印象に残るエピソードとなっているように思う。
ジャーナリストの活躍は
エピソードは、反核ロビイストと小国との陰謀に偶然気が付いたフリージャーナリストを中心に進む。このジャーナリスト、ゴルゴの存在を知っていて、しかもこれも偶然にゴルゴの仕事に出くわす。
“偶然”を引き当てるタイプで、しかも社会派となると別のエピソードにも登場しそうなものだが、少なくとも自分が知る限り彼の登場は今作だけだ。白人のインテリという点が、『日本人・東研作』にも登場するマンディ・ワシントンと被るからだろうか…。こればかりは知るよしもない。
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大科 友美
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