この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第152巻収録。日本人に愛する女性を奪われた過去から、大の日本人嫌いとなったジャーナリスト、サシャ。ある日、サシャは日本の核融合施設を叩く記事を書いてほしいとの依頼を受け、喜んで引き受ける。取材のためアメリカに渡ったサシャは、禁止されている核融合炉施設の写真撮影に成功するも、直後に命を狙われてしまう……。脚本:夏緑、秋田茜
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漢のメロドラマ
エピソードとしては核にまつわる大国の黒い思惑が絡み合う、壮大ではあるが醜悪な回だ。しかしそこに恋をこじらせた男やもめと、コミュニティの美に合わなかったがためにモテなかったアメリカンガールの運命的な出会いが背筋となって、どこか爽やかさすら感じるエピソードとなっている。人生は捨てたもんじゃない、あるいはこんな人生も悪くないと読後笑顔になるのは自分だけではないだろう。
サブタイトルの妙
ゴルゴ13ではエピソードごとにサブタイトルがついていて、ストレートな物もあればエスプリの効いたものもある。多くのサブタイトルの中でも、今回のサブタイトルは特に秀逸な題ではないだろうか。
地上の太陽と言えばほとんどの人間が核を思い浮かべるが、読み進めていくとここにもうひとつ、愛の出会いの意味が込められていることが分かるのだ。ラストで「君こそ“地上の太陽”だっ!」と愛を叫ぶのも、大団円らしくて個人的には好きだ。
道具の意外性に膝を打つ
ゴルゴの狙撃成功率の高さは類まれな狙撃の腕だけでなく、幅広い分野に渡る信じられないほどの深い知識に裏付けされている。今回も知識と技術を動員し、作中でいうところの“蟻の一穴”で依頼を遂行している。
今回のようにゴルゴが知識を動員し、特別製の道具を作る回は数多くあるが、どれも読んでいて「こんな弾丸で!」「銃にこんな工夫を!」と膝を打つ瞬間があって面白い。
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大科 友美
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