この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第10巻収録。売れっ子ダンサーのロージイは子供を身籠ったものの、夫のジョニィが行方不明となり、やがて湖で死体となって発見され途方に暮れる。ロージイの前に現れた“足長おじさん”ウィルソンは、ロージイに大金を与えた上、プロポーズまでしてしまう奇妙な行動にでる。その裏には、彼の政治的陰謀が隠されているのだった……。脚本:K・元美津
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ゴルゴの異様な存在感
本作のゴルゴは出番が少ない。台詞においてはCIA工作員が3名返り討ちにあったと伝えてきた相手へ「おれは…仇うちをひきうけたわけじゃない…」と回答する一文のみである。
そんな本作のみどころは彼の異常な存在感だ。ゴルゴを知らない人間がこの作品を単品で読み、タイトルも良く知らずに読み進めたとしても、彼が登場する僅かなコマに言い表せない緊張を持たせるような凄みがある描かれ方をしている。
ストリッパーに色々な意味で注目
本作で注目すべきはストリッパーを生業としている女性、ロージイだ。ストリッパーと聞くと作中で違う点にも注目してしまいそうなものだが、読者の期待は裏切らないのがゴルゴシリーズである。冒頭から美しい肢体を惜しげもなく披露し、日銭を稼ぐ逞しい女性であることが描かれているのだ。
では彼女のどこが注目かというと徹底的な男運の無さだろう。特に序盤の彼女の生活ぶりは読んでいるこちらが気の毒になってくるほどである。そんな彼女もストリッパーから足を洗い、新しい恋人にも恵まれ順風満帆と思いきやそうは問屋が卸さない。彼女を取り巻くろくでもない男達がどのような結末を迎えるのかもみどころと言えるだろう。
本作のゴルゴは恋愛物!?
本作は『ラブはナイフ』に似た男女の機微に振り回される女性の悲劇を描いた作品だ。『ラブはナイフ』では男性がゴルゴに勝つために女性をその成り上がり劇に付き合わせ振り回す話であった。
本作ではロージイの元に一癖も二癖もある男性が次々に現れトラブルを巻き起こしていく。つまり一人の女性に対して複数の男性という一風変わったスタイルが特徴的である。そして女性主人公ならではの最大のみどころはロージイの結婚式だ。波乱万丈であった彼女もついに人生において幸せの絶頂を迎えると思いきや、ゴルゴらしい結末が待ち受けている。
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小摩木 佑輔
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