この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第28巻収録。前話からの続編ともいえる内容。盗賊改方の役宅で療養中のおひろを、血眼になって探す老盗・泥亀の七蔵。じつは、おひろの記憶には今は亡き大盗・傘山の瀬兵衛と、牛尾の太兵衛の遺し金・五千両の在り処が隠されているという……。おひろの記憶をたよりに秋葉山を目指す平蔵一行だったが……。
スポンサーリンク
偉人や著名人を悩ませた病気
痔に悩んだ有名人は多い。西洋ではルイ14世、ナポレオン・ボナパルト、マルティン・ルター。日本では加藤清正、松尾芭蕉、野口英世など。「痔の画期的な治療があれば歴史は変わっていたかもしれない」なんて人もいる。
そんな痔がきっかけで本作は事件へとつながっていく。ちょっと気になるのは、題名になっている泥亀の七蔵が紹介を受けて医師宅に向かったところ。
医師宅の門柱に“中村庵 痔疾科”と看板がある。まさに痔専門のお医者さんではあるけれども、当時からそうした看板を掲げていたのだろうか。また痔の治療だけで食べていけたのだろうか。
盗賊が生涯に稼いだ金額
本格の大盗として名前を響かせた傘山の瀬兵衛の遺(のこ)し金をめぐって、引き込みのおひろを探していた七蔵。五郎蔵に遺し金の額を聞かれた七蔵は、「二千両とも三千両とも」と答えている。
酒井の言葉によると、傘山の瀬兵衛は20年にも渡って東海一帯で盗みをしていたとのこと。さらに牛尾の太兵衛も同額の遺し金があるとしている。
しかし残し金で二~三千両もあるとすれば、配下に分けた金も合わせてその数倍から10倍は稼いだ(盗んだ)ことになる。1つの盗みに数年はかけることもある本格の盗賊が果たしてそんなに稼げるものだろうか。
スポンサーリンク
鬼平の勘は盗賊ばかりじゃない
盗賊の一味として捕まったものの、『蛙の長助』で密偵として動き始めた仁三郎。本作では経験を重ねた慎重な行動を見せており、「お前もだいぶ心得てまいったな」と平蔵が言い、佐嶋達もが感心するほど成長している。
後々『二つの婚礼』で仁三郎とおひろは結婚するのだが、本作ではそうしたそぶりはあまり見られない。
しかし身の振り方に迷うおひろに仁三郎は、「(平蔵の役に立つことが)出来ますとも、おひろさんならば!」と元気づけ、そんな光景を見た平蔵は、「あの二人似合いだな」と言っている。鬼平の勘は男女の仲にも鋭さを発揮するようだ。

この作品が読める書籍はこちら

研 修治

最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第650話『2-1+1』のみどころ - 2025年5月17日
- ゴルゴ13:第649話『レベル3の罠』のみどころ - 2025年4月30日
- ゴルゴ13:第648話『GPT13』のみどころ - 2025年3月29日