この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第23巻収録。見廻りの帰り道、片足の借金取り・蛙の長助に出会った平蔵。悪徳金貸しグループの存在を直感した平蔵は捜査を開始する。捜査上には茶道の宗匠・三浦彦兵衛の名が浮上し……。平蔵の代わりに用心棒をつとめるハメになった忠吾が、とんだ災難に見舞われる。
スポンサーリンク
密偵の仁三郎、その実力は
「蛇苺」で鬼平の密偵となった仁三郎が、初めて密偵としての任務を行うぞ。張替屋だからこそ出来る潜入捜査が仁三郎の魅力だ。どことなく頼りなさそうにも見えるが芯の通った密偵で、今後の活躍にも期待したいな。
本作は元盗賊で隻脚の借金取り・蛙の長助が鬼平の腕を見込んでのストーリーだ。鬼平の腕前を口先だけで拝借する、いつものパターンともいえる。その任務を請け負うのは当然、木村忠吾だ。ドタバタの喜劇的展開だが、非常に見どころの多い作品だろう。
笹やのあった場所を考える
お熊が門前に茶屋を営む“弥勒寺”は現在も存在するが、古地図を見ると江戸時代は今よりも敷地が広かった事が分かるぞ。現在の弥勒寺は森下から両国に向かって右手へ入った辺りなのだが、江戸時代には清澄通りまでが弥勒寺の敷地だった。
本作の描写で舟形の宗平を見送るお熊の画がある。見送るといっても鬼平に対して怒りながらなのだが。そのコマを見ると、清澄通りに掛かる二之橋と同じ通りに茶屋があると分かるのだ。
つまりお熊の茶屋は弥勒寺の門前だが、江戸時代の弥勒寺が有する敷地内にあったという事になる。二之橋と茶屋との距離が近すぎるようにも見えるが、まぁそこは愛嬌という事で。
スポンサーリンク
口先が大切か、手先が大切か
木村忠吾はいつものようにお調子者。口から出まかせといえば、軍兵衛か忠吾か、というほどに鬼平犯科帳では口八丁が特徴的な同心だな。自分を大きく見せたいと願うものの、ついた嘘が大きすぎて最後には痛い目を見る。むしろその展開こそが忠吾らしいとも言えるだろうか。
ひょんな事からスリ集団の一員として、スリの真似事をした長助ではあった。しかし人には天分という物があり、長助の天分は身の軽さだったのかもしれないな。
本作も御多分に漏れず、忠吾のついた嘘が自分に跳ね返ってくるエピソードだ。既にお約束ともなってはいるのだが、忠吾ファンには堪らない展開となっているぞ。
この作品が読める書籍はこちら
滝田 莞爾
最新記事 by 滝田 莞爾 (全て見る)
- 鬼平犯科帳 漫画:第265話『同門の宴』のみどころ - 2022年9月9日
- 鬼平犯科帳 漫画:第48話『おしま金三郎』のみどころ - 2022年9月5日
- 鬼平犯科帳 漫画:第67話『殺しの波紋』のみどころ - 2022年9月1日