この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第35巻収録。ウガンダの反アミン派ゲリラには、アミン大統領の軍人時代の戦友・ジョンガがいる。彼は大統領派の手の内を知り尽くしているため、ジョンガを消したい大統領派はゴルゴに殺害を依頼する。ジョンガのいる密林に潜入したゴルゴだったが、ツェツェバエに襲われ生死の境をさまようことになる……。
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自らをも苦しめたハエを利用するゴルゴ
本話ではツェツェバエによる「眠り病」、ゲリラ集団による拷問と、一話で二度もの苦悶に耐えるゴルゴの姿が描かれている。
そんな中でも印象に残るのが、ツェツェバエに噛まれて死線をさまよいながらも、地面の小石一つでハエを撃ち落としてみせるゴルゴの小技だ。さしずめ、箸でハエを捕まえる宮本武蔵のゴルゴ版といったところだろうか。
それにしても、エピソードの冒頭でゴルゴを苦しめていたツェツェバエが、最後は敵に一矢報いるための武器になるという話運びは爽快。現地の特性を知り尽くして仕事に臨むゴルゴならではの反撃といえる。
相手の心理を計算し尽くしたゴルゴの作戦
本話のクライマックスでは、ゴルゴは処刑寸前にまで追い込まれるものの、相手の武器で処刑するという敵の風習を逆手に取り、銃の暴発を用いて難を逃れる。
50巻収録の『ロベン監獄島』でも、同様に銃に細工をして暴発で標的を始末する展開があるが、いずれも相手の心理や習慣を知り尽くしていなければ出来ない見事な逆転劇だ。
また、後述の裏切り者にトドメを刺したのはゴルゴの銃弾ではなく、冒頭から描写されていたナイル川のワニ。ツェツェバエ、敵の風習、そして獰猛なワニと、当地の産物を巧みに利用して敵を倒すゴルゴの活躍は必見だ。
時代錯誤な裏切りの理由には驚愕の一言
やっとのことで標的を始末して帰還したゴルゴだが、なんと依頼人が銃を向けてくる。その動機が「勇者(ゴルゴ)の肝を大統領に食べさせるため」だというから凄い。
タイトルの「独裁者の晩餐」がまさかそういう意味だったとは……。勿論、ゴルゴを敵に回してタダで済むはずもなく、結局は自分がワニの晩餐にされてしまったのは先述の通り。
そして、その後のラストシーンで、彼の安否を心配していた新たな依頼人の前に平然と現れ、「用件を……聞こうか……」と何事もなかったように切り出すゴルゴは大変格好良く、まるで映画のラストのようだ。
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東郷 嘉博
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