この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第35巻収録。大統領選挙の演説会場に現れたゴルゴ。厳重な警備体制の中で検問をうけるが、警備官はゴルゴの持っているプラスチック製の拳銃を、オモチャだと判断して入場を許す。しかし、会場内の警備に当たっていたFBI捜査官・ダッチェスは、ゴルゴの顔を知っており即座にマークする……。脚本:早里哲夫
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ゴルゴを可愛いと思う瞬間
またゴルゴの神業が見られるエピソードなのだが、ゲームコーナーの射的をするゴルゴや風船を持つゴルゴがとにかく可愛いという点で個人的に一推しのエピソードだ。射的も風船もどちらも任務のために必要な行動だったのだが、クールな顔をしてゲームに興じ、風船をいくつも持って歩く姿が可愛い。鳩を両手で包むように抱くのも可愛い。
ゴルゴを可愛いと表すると違和感があるファン諸兄も多いだろうが、正直な感想だ。親しみを覚えると言い換えてもいい。その親しみの裏側には仕事に対する飽くなき追及があると思うと、それも魅力だ。
皮肉の効いたタイトル
神に贈られし物というタイトルはとびきり皮肉が効いている。派手ではないエピソードなのにタイトルが強く印象に残る。ゴルゴの使ったプラスチック製の拳銃は風船とともにはるか空へ飛んでいった。それを悟った警察署長が「凶器は……神の御手に委ねられたか……」と最後のコマでつぶやく。
宗教色のないエピソードでなぜこのタイトルなのかと思っていたところでこのセリフ、やられたと膝を打った。ただ、ゴルゴは神頼みは少しもしていない。己の行動はもちろん、警官たちの動きまですべて計算づくで仕事に挑んだ。それを思うと、さらにタイトルに深みが増す。
市井の警官たちの奮闘
このエピソードではFBIのテロ防止エキスパートと評される捜査官を始め、市井の警察官がゴルゴと対峙する。印象的なのは、皆仕事に対して真摯に取り組んでいる姿だ。名もなきモブキャラクターやちんけな三下が怠けたり、手を抜いたりすることで自ら墓穴を掘る展開は割合見る。
しかし今回警官たちは皆捜査官の指示を守り、真剣にゴルゴを逮捕し、彼の罪を暴こうと奮闘する。だからこそゴルゴの用意周到さ、巧妙さが一層際立つのではあるが。ゴルゴの足元にも及ばなかったとはいえ、市井の警察官としては誠実で充分奮闘したといえるのではないだろうか。
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大科 友美
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