この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第103巻収録。歴史的スクープを求めモスクワを訪れた記者カール・ディデスは、大戦中に日本とソ連の停戦交渉の裏で行われた“ある密約”についての資料を発見する。ディデスから取材を受け資料を見た旧日本軍将校・金子は、国家賠償の代わりとして7万人の死者をだしたシベリア抑留を認めた真犯人を知るのだった……。脚本:国分康一
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フィクサーにモデルはいるか?
ゴルゴシリーズでは『50年目の亡霊』『暗黒海流』などにも登場するフィクサー。本作では二階堂洋介なるフィクサーが登場。陸軍幼年学校、士官学校、陸軍大学を首席で卒業したエリートで、関東軍においては副参謀長を務め、戦後は大東重工業に迎えいれられた後、同社の会長にまで上り詰めている。
さらに第二次世界大戦末期に民間人の保護よりも徹底抗戦を主張し、敗戦後は捕虜のシベリア行きも決めたとある。直接モデルになりそうな人は見当たらないものの、似たような経歴をもった軍人は何人かいる。複数人の履歴を組み合わせたのかもしれない。

2つの依頼をこなすゴルゴ
本作でメインに描かれるのは関東軍で参謀だった金子だ。二階堂の陰謀を暴こうと努めた彼のボディガードをゴルゴが請け負っており、ゴルゴファンの多くが「何かあるな」と察するはず。
作中でも二階堂が、「ボディーガードなど絶対に引き受けないはず」と考え金子も、「私に近づいてきた理由は他にあるのだろう」とゴルゴに尋ねている。もちろんゴルゴは答えない。物語の終盤でロシア要人の暗殺依頼が明かされるのだが、『ラスト・ゴーギャン』のように2つの依頼を同時にこなしたゴルゴが「一挙両得で儲かった」と考えたかどうかは定かではない。
ゴルゴを敵にした人の末路
敵対者や裏切り物を決して許さないのがゴルゴの信条の1つ。『300万通の絵葉書』では毒を飲んで自殺しようとした人間を、直前にわざわざ撃ち殺しているくらいだ。しかし『亜細亜の遺産その後』や本作の二階堂のように、ゴルゴの手が及ぶ前に自ら命を絶つ人間もいる。さすがのゴルゴも時空を超えて処断するのは不可能だろう。
自殺する前に二階堂は、「お前を倒せる人間は、この私以外には存在しないのだから」と考えていたが、終始圧倒されっぱなしだったのを読者はよく知っている。もし真っ向からぶつかっていても勝ち目はなかったはずだ。

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研 修治

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