この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第140巻収録。シリーズ屈指の名脇役、マンディ・ワシントンが久々に登場。かつてゴルゴの出生の秘密に肉薄したワシントンだが、現在は引退し、マディソン郡で余生を送っていた。しかし自宅付近にゴルゴの秘密基地があることが発覚。またまたゴルゴ絡みのトラブルに巻き込まれてしまう……。脚本:品川恵比寿
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ゴルゴの死生観が伺える必読バージョン
これはめったにみられないゴルゴのプライベートタイムの話である。かつてゴルゴに関わったジャーナリスト・ワシントンの目を通して、ゴルゴの死生観を含めた哲学を語っている。
トレーニング中のゴルゴのビデオを偶然みたワシントンが、ゴルゴのとっさの動作について死生観に基づくと推測しているが、現実に起き得るリスクに対する高度なトレーニングと考えることもできよう。ビデオ撮影されていたことに気づかなかったのは『奇跡を呼んだ少年』の少年が偶然双眼鏡の視界にゴルゴをとらえたのと同様、意図的ではなく偶然だったからといえる。
ヤワラちゃんの金メダルを支えた馬
柔道で活躍した“ヤワラちゃん”こと谷 亮子選手は、現役時代、オリンピックの直前に捻挫した。その際患部を冷やすため馬肉を使った。おそらく湿布薬には、ドーピング検査に抵触する成分が含まれている怖れがあるためではないかと思われる。
冷やすだけなら氷で良いと思われるかもしれないが、患部を「冷却」するのと「吸熱」するのとでは微妙に違うのだろう。おそらくゴルゴも肩の辺りを痛めたようなので、患部を冷やすために馬肉を使ったのではないだろうか。蜂蜜は切り傷や風邪等の薬にもなるなど、自然界にも治療薬は多々存在している。
すべてを救ったメシア
これはメシアという馬を通した喪失と再生の物語でもある。いじめられて心を病んでいた少年は、メシアによって心癒され、立ち直った。これはアニマルセラピーと呼ばれる療法であり、アメリカの刑務所では猫が使われたり、日本では、かつて、死刑囚が房内で文鳥を飼うことを黙認されていた時代もあったという。
「メシア」はヘブライ語で「救世主」という意味であり、少年の心と両親の牧場の経済的危機、そしてゴルゴの生命を救った。静かなる草原は怒濤の騒ぎの後、雨降って地固まり、再び希望に満ちた、新たな静けさを取り戻したのだった。
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野原 圭
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