この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。119巻収録『間違われた男』を彷彿とさせるクスリと笑える短編。マフィアの放蕩息子・ロイが、取引先へ重要書類を運ぶことになった。敵対組織はロイが運転する車を尾行し、隙あらば書類を画策する。が、ロイに同行した東洋人のボディガードをゴルゴと勘違いしたことから……。脚本:ながいみちのり
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ボンボンとお目付け役のドタバタ珍道中
お調子者の「若」ことロイと、お固いボディガード・カトーの凸凹コンビぶりに口元が緩む本話。「家に帰るまでが遠足」なんて表現がアメリカにもあるのかは知らないが、お目付け役としての長い付き合いが言葉の端々から窺えて微笑ましい。
そのロイも、無能なボンボンのように見えて、傷付いたカトーを見捨てない心意気や、初見のトランク型機関銃を咄嗟に使いこなす機転や胆力も併せ持っており、成長すれば案外いいボスになるのかもしれない。冒頭のバートレットもそれを見抜いているからこそ、この仕事を彼に任せることを提案したのだろうか。
間違われた男というか、勝手に間違えた男
「いかつい東洋人」のカトーをゴルゴと誤認する敵対マフィアの滑稽さも、本話の笑い所。ページ数の少なさゆえに十分な説明はないが、裏社会にもゴルゴの情報は出回っており、思わず連想してしまったのだろう。派手な車に乗り換えたり、娼婦を呼んだりというロイの考え無しの行動が、逆に思い込みの材料になっているのが面白い。
ゴルゴ本人はラストで車で通りすがるだけだが、それも果たして本物だったのかどうか……。実はあれも赤の他人で、ゴルゴへの恐怖に囚われた男が、写真で見たその顔を無意識に重ねてしまったというシーンなのかもしれない。
縦向きでは撃てない?トランク型機関銃
作中でも「あんな物見たこともねえ……」と言われているトランク型機関銃(ブリーフケースマシンガン)だが、一応、要人警護用に実在はしているようだ。ドイツ製のサブマシンガン「H&K MP5」のアクセサリーとして、Schießkoffer(シースコッファー)と呼ばれる発射ケース(英語圏では「スペシャルケース」と呼称)が付けられるものらしい。
なお、本作や映画『キングスマン』では縦に構えて撃っているが、実際には反動を抑えるためにケースを横向きに構えて発砲するようだ。確かに作中の持ち方だと手首がもたないだろう……。使用シーンは以下の動画を参照されたし。
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東郷 嘉博
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