この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第36巻収録。CIAの謎の工作員・バンバーの始末を依頼されたゴルゴ。バンバーは中東の和平を望まない武器商人と組んで、意図的に爆破事件などを起こし、緊張状態を作っていた。ゴルゴは正体不明のバンバーを特定するため、酒場で歌っているバンバーの愛人・リリイに接近するが……。
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将を射んと欲すれば……
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」の言葉がある。これは「詩聖」とも呼ばれた唐代の詩人である杜甫(とほ)の詩が元になっている。それをゴルゴが知っているかどうかは定かではないものの、正体不明のターゲットを探る場合にゴルゴはターゲットの女に近づくことが多い。
本作で正体不明のターゲットであるCIA関係者バンバーの恋人リリイに近づいたゴルゴは、彼女が歌い手を務める酒場に連日通うことで彼女とベッドを共にするまでになっている。
的を得たゴルゴの一言
読者のほとんどが「ぞれだけで?」と思うだろうが、本当にそれだけなのだ。やや強引ながらもコトに及んだあとゴルゴは、彼女から「今夜も、店に来てくれるわね……?」と尋ねられるまでになっている。つくづくうらやましいと思う。
依頼者であるイスラエル関係者ですらつかみ損ねていたバンバーの正体は意外なものだったが、ゴルゴは「敵を知るには、その敵と寝た相手を、知ることだ」と言っている。リリイと肌を重ねたゴルゴが、いつターゲットの正体を感じ取ったのか知りたいものだ。
静かなる対決。ゴルゴvsバンバー
ターゲットを殺す際に銃を使うことの多いゴルゴながら、本作ではバンバーの背中を大き目のナイフでひと突きにしている。血しぶきを上げながらその場でバッタリと倒れるバンバー。ゴルゴが銃を使わなかった理由は何だろうか。港で人通りを気にしたのか、それとも銃声を響かせたくなかったのか。
本作以外でユニークな殺害方法を取る話には『黒い星』『キャサワリー』『フロリダ・チェイス』などがある。ゴルゴの多彩なテクニックを堪能して欲しい。本作のラストはゴルゴと逃亡することを選んだリリイが駅で待ちぼうけとなるシーン。彼女はこのあとどんな行動をとったのだろうか。
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研 修治
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