この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第104巻収録。台湾の組織「竹連幇」の密輸ルートが次々と襲われる事件が発生。竹連幇の女首領・張は組織にいる不満分子の裏切りの線で調査。浮かび上がったのは中国共産党ともつながっている敵対組織「客家幇」の存在だった。客家幇が雇った中国特殊兵の脅威に対抗するため、張はゴルゴに助けを求めるが……。
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台湾で最も良い季節とは?
本作の舞台は台湾。華僑の組織である幇内で起きた騒動に、中国の特殊部隊が関わることで事態が大きくなっていく。そこでゴルゴが呼ばれるのだが、身内の騒動を他に任せることを嫌った竹連幇の大家姐(ダイカーチェ:組織のトップ)である張金栄が依頼を中断させる。
ここで気になる発言がある。依頼をキャンセルした張金栄は、「今は台湾で最も良い季節です」と告げてゴルゴを台北に引きとめている。本作の発表は1993年2月。そして冒頭では旧正月らしき様子が描かれている。台湾では1月末から2月くらいが一番良い季節なのだろうか。
ゴルゴの信頼を得る方法
日常生活でも気を抜くことの少ないゴルゴは、他人と飲食を共にすることは少ない。しかし本作に登場する張金栄は、手前勝手な事情で依頼を取り消しただけでなく台湾に留まることを勧めて食事まで同卓している。
ここまでできる人間はなかなかいないものの、『ロックフォードの野望』では依頼人が注いだ飲みものを依頼人より先に口にし、『ワシントン・秘密工作 大統領はお元気?』では依頼人が投げてよこした缶ビール(バドワイザーか)をためらいもなく飲んでいる。ちょっとうらやましいが、そこまでゴルゴの信頼を得るにはどうしたら良いのだろうか。
ゴルゴも称賛する警報装置
改めて依頼を受けたゴルゴは単身敵地に乗り込んでいくのだが、竹林に張り巡らした糸には空き缶をつなげるなど、簡易的ながらも効果的な罠が仕掛けてある。それを上回るの備えもある。何とアヒルだ。
眠っているアヒルに気づいたゴルゴは吹き矢を使って一羽ずつ殺して(眠らて?)いきながら、「アヒルの放し飼いは、単純だが有効な警報装置だ」と認識している。読み返せば、当初ゴルゴの代わりに向かわせた一団はアヒルが騒いだことで襲撃を急かされた後に皆殺しとなっている。もっとも「それなら俺もアヒルを飼うか」と考える読者は少ないだろうが。
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研 修治
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