この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第63巻収録。ロックフォード財閥の当主デビッド・ロックフォード。彼はゴルゴを一族専属のヒットマンとして雇いたいと切望する。が、その申し出をあっさりと断られたためゴルゴの全財産を凍結。追い詰められたゴルゴは、華僑である黄一族の協力を仰ぎ突破口を見出だしていく……。
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敵とも味方ともなる華僑
本作でゴルゴに協力するのが華僑だ。敵とも味方ともなるのはCIAやKGB同様で、本作や『黒い星』ではゴルゴの依頼人となり、『亜細亜の遺産』では組織に所属する暗殺者がゴルゴに牙を向いている。
ここで興味深いのは、在外華僑の頂点に君臨する黄彊孫からのデビッド・ロックフォードの暗殺依頼をゴルゴが受けていること。ゴルゴの銀行口座を封鎖するなど敵対したことで既にデビッドは暗殺対象になっているかと思われたのだが、案外そうでもないらしい。もしくは死の間際にある黄を安心させる意味で、ゴルゴはあえて金を受け取ったのかもしれない。
デビット・ロックフォードの日本趣味
ゴルゴを取り込もうとして、結果的に敵対してしまうロックフォードの当主、デビッド・ロックフォード。スイスの別荘に逃げ込んだ際の彼のファッションに注目だ。自室でくつろぐデビットは下半身はおそらくスラックスと革靴、上半身は肌着などは付けずにガウンを羽織っている。
そのガウンの右胸辺りに“龍”、左腰に“神”、そして背中には“誠”の文字がデザインされている。デビットはジャポニズム(日本趣味)でもあったのだろうか。もっともこの直後、ベランダに出たデビットはあっけなく撃たれている。どうやら龍神の加護は無かったらしい。
大統領や書記長も酔っぱらい老人と同じ
本作には当時アメリカ大統領だったロナルド・レーガンそっくりの人物が登場する。デビッドに依頼された大統領はゴルゴに暗殺中止の電話をかけるが、ゴルゴは無視してしまう。
もっとも大統領はそうなると思っていたらしく、ゴルゴにとっては大統領やソ連の書記長であっても、「街角で酔っぱらって眠りこけている老人と………何の変わりもないのだ」と表現している。ゴルゴに対する認識は笑いながら撃たれたデビットよりも大統領の方が正確だ。しかし甘い認識は遺伝するのか『ロックフォードの野望 謀略の死角』でもゴルゴの圧勝劇が見られる。
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研 修治
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