この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第72巻収録。ステルス戦闘機の破片の一部を入手したモンタナは、それを材料に国防総省から大金をせしめようと企図。刺客が送られてくることを予想したモンタナは、その迎撃をゴルゴに依頼する。CIAはこの情報をソ連にリークすることで、ゴルゴとソ連のスペツナズを対決させようと企む。
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ジョー・モンタナという名の依頼者
内容はともかく、まず気になるのが依頼者の名前が“ジョー・モンタナ”であることだ。アメリカ人としてさほど珍しい名前ではないが、今エピソード発表当時、モンタナ・マジックで一世を風靡したアメリカンフットボールの名司令塔と同姓同名ときては、どうしても引っかかってしまう。
日本でもテレビCMに起用されダジャレを言わされていたのを覚えている読者も多いだろう。というわけで依頼者の名前が実在のモンタナと関連性があったり、匂わせがあったりするかもと期待するのだが、その期待は裏切られる。むしろ『錆びた黄金』のロイド長官のような”イヤな感じの依頼者”で残念だ。
ステルス=こっそりと行う、隠密に
“ステルス”というとインターネット全盛の時代においては広告であることを気取られない広告を意味する“ステルスマーケティング”を想起することが多いだろうか。受験英語ではあまり学ばないステルス(stealth)と言う言葉を知ったのは、今エピソードの出発点となるステルス戦闘機の登場によってだ。
レーダーに察知されない“見えない戦闘機”という評判で広く喧伝されたため、飛行機版透明人間のような夢の技術を想像していたところ、実物がなんだか黒く塗っただけのもっさりしたものであることが解ってがっかりしたことを覚えている。
特殊部隊スペツナズ
ソ連(ロシア)特殊部隊スペツナズは『最後の戦場』でも登場するが、ほぼ出番なしのため、今エピソードがスペツナズの実力を測るものさしになる。
しかし標高3,500mでライフルの射程距離が延びることを計算していないうっかり具合で、世界最強の一角の実力を示せていない。『カフカーズの群狼』でもロシア精鋭部隊アルファがゴルゴに一蹴されており、“ソ連(ロシア)特殊部隊は弱い”と錯覚してしまう。
スペツナズと言えば、刀身射出可能なナイフ“スペツナズナイフ”が人口に膾炙しているが、ゴルゴ脚本にも参画していた工藤かずや原作の『パイナップルARMY』が日本でのその最大の功労者だろう。
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片山 恵右
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