この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。ザンゲズール回廊設置をめぐるアゼルバイジャンとイランの緊張を背景に贈る長編大作。イラン発祥の格闘技「トア」の達人であるバカルを狂言回しに、両国の政治的攻防やそれに関わる人々の数奇な運命を描く。脚本:夏緑
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強敵を作り出したゴルゴ
キーパーソンとなるイラク人青年バカル・アル=ダバラン。彼が習得している格闘技“トア”が一般にも広まった遠因は、イラン国王ムハマドが暗殺されて国内外が混乱したためらしい。すると「国王に死を」でゴルゴが国王ムハマドをスナイプした結果、将来の強敵を作り出したことになる。
爆撃で手足を失って絶望したバカルにとって、義手や義足のリハビリを手伝うスライヤが天女(フーリー)に思えたのも当然か。ゴルゴシリーズでは珍しく純愛が展開されるのは興味深いし、困難を乗り越えて再会した2人がハッピーエンドになるのも微笑ましい。

2人の日本人専門家
作中に登場する義体の専門家である日本人ユーイチロー・ホンダとヨウイチ・ミヤワキ。おそらく兵庫県立リハビリテーション中央病院の本田雄一郎博士と電気通信大学の宮脇陽一教授だろう。
バカルが「戦争で手足を失った子供達を救うために、殺人兵器を作るってのか」と皮肉を言うが、ウクライナでドローンが戦争を一変させたように、武器や兵器が技術を発展させるのも、最先端の技術が兵器に活用されてきたのも事実。バカルに義体を提供した教授は「綺麗事で金は湧かん、人は救えんよ」と言い捨てるものの、本田博士や宮脇教授が聞けば顔を曇らせそうだ。
バカルとの再戦はあるか
自暴自棄で川に飛び込んだスライヤだけでなく、瀕死となりつつ川に流されたバカルも生きていた。筋電機工(マイオボット)の天才であるスライヤが正気を取り戻せば、バカルも再起できそうだ。そこで気になるのは義手や義足の反応速度の速さ。
バカルが「生身の体より早く動けるなんて最高」と言うように、『バイオニック・ソルジャー』のライリーをしのぐ運動神経を持つ戦士となる可能性がある。バカルがゴルゴへの復讐を考えても、争いを嫌うスライヤが止めるだろうが、初登場時から好戦的なバカルのこと。ゴルゴへの挑戦に抗えないかもしれない。

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2024年7月現在、単行本化はされていません。単行本化までしばらくお待ちください。

研 修治

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