この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第8巻収録。大戦中に22万人のユダヤ人を虐殺した、ナチスのカウフマン大佐。彼はイスラエル側がゴルゴを雇い自分の命を狙っているとの情報を得、ある計画を実行する。それは世紀の大マジシャン、アルドーのマジックを利用して、ゴルゴが本人を狙撃したと思い込ませるというものだった……。脚本:K・元美津
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ゴルゴの出番は少ないものの…
本作のゴルゴは出番が少ない。この手法は『ラブはナイフ』等でも見られる。全編通してゴルゴが主人公としての物語を見たい読者には物足りなさを感じることだろう。しかし出番が少ない分、ゴルゴの活躍は色濃く表現されインパクトが増す。まさに“真打登場”といった具合になるのだ。
本作でもターゲットであるカウフマン大佐の卑劣な作戦に対して読者をスカっとさせてくれること間違いなしである。後半にかけての濃縮されたゴルゴの活躍が本作のみどころ。もっとゴルゴが活躍するような話を読みたい読者には、ゴルゴの魅力が濃縮された『Dr.V.ワルター』がお勧めである。
魔術師アルドーとカウフマン大佐
本作で注目すべき人物は凄腕の魔術師アルドー・ヒルシュバルトだ。彼は本作の主人公とも言うべき存在で、彼のマジックでゴルゴの狙撃を欺こうとする一味違った強敵として描かれている。そしてそのような状況に追い込んだ男、ハインツ・カウフマン大佐にも注目したい。
彼はアルドーに強制的に自身の顔を張り付け外せないようにしゴルゴに狙われるよう仕向ける等、人と思えない行動を平然と行うのである。それもそのはず、彼はネオ・ナチズム思想を持つナチスの残党で、回想シーンでもアルドーを吊し上げ火あぶりにしようとするなど残虐性が描かれている。真のターゲットとその替え玉とされたマジシャン、この二人とゴルゴの絡みが本作のみどころと言えるだろう。
ゴルゴの狙撃はマジックを破れるのか
冒頭のマジックショーのシーンから分かる通り、本作ではマジックによるトリックがみどころとして挙げられる。カウフマン大佐に強制的に替え玉にされてしまったアルドーの生死を賭けたトリック。ゴルゴは替え玉であることやトリックを見抜けるのか、この狙撃対マジックの勝負がみどころだ。
次に気になるのはやはり真のターゲット、カウフマン大佐の末路だろう。作中、大佐はアルドーが娘のようにかわいがっている助手のエリナの命にまで言及する卑劣漢だ。読者の心境としてはゴルゴがアルドーではなく、カウフマンを始末して大団円にしてほしいと思うところだが果たしてそう上手く事が進むのか、結末が気になる作品に仕上がっている。
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小摩木 佑輔
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