この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第65巻収録。建設政務官の塚山は、謎の言葉を残して死んだ友人の事件を調査していた。地下鉄の工事現場を探っていた友人は、一体なにを探し当てたのか? やがて塚山は戦時中にある日本人とソ連の間で画策された、戦後の新ソ政府樹立の陰謀にたどり着く……。脚本:きむらはじめ
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どろどろとした権力争い
1970年頃から約20年間、田中角栄と福田赳夫が中心になって行われ、“角福戦争”と呼ばれる権力争いがあった。本作に登場する中田丸助と幸田武吉は容貌や言動からもこの二人がモデルだろう。
そんな権力争いと大戦時の陰謀を絡めた本作。ゴルゴに依頼したこともあって、結果的には中田の計画を幸田がとん挫させるのだが、中田や幸田の腹黒い面をこれでもかとばかりに描いている。本作の発表は1984年。二人が議員を引退したのは1990年。その後、田中角栄は1993年に、福田赳夫は1995年に亡くなった。二人は本作を読んだのだろうか。

キープ料金は1秒ウン万円
基本的に不確実な依頼は断るゴルゴ。ただし条件にもよるらしく『“E”工作』では、「捨てガネになってもいいのだな……?」と将来おこるかどうか分からない出来事に関する依頼を受けている。
本作では金を払ってゴルゴを留めていたらしく、「君をキープしておくために、一秒ごとに万札が消えていった」のセリフがある。その少し前、内閣調査室の職員がゴルゴについて、「十日ほど前から、各国とも彼の動きを見失っていた」と言っている。仮に1秒1万円でも1時間で3600万円。1日なら8億6400万円、10日で86億4000万円。さすが金満日本だ。
党の最長老が真の首謀者なのか
本作で気になる人物がいる。幸田武吉と差し向いで語り合いゴルゴに依頼をした人物。これは物語の最初でチラリと出る新聞に名前が載っている党の最長老の根岸慎三だろう。
では、第二次世界大戦時の陰謀を証明する「S-書簡」の首謀者。さらに本作でメインに描かれた塚山議員が、「いったい誰なんです」と尋ね、幸田が「“その人”を知ろうとする者に、明日はない」と表現した首魁は誰なのか。こちらも根岸…なのだろうか。昭和21年の国会議事堂を描いたシーンで、決して顔を描かれない人物が3人登場する。この内の一人なのだろうが、果たして誰なのか。

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研 修治

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