この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第65巻収録。米国防省のアフガン侵攻作戦「スリーピング・ドラゴン作戦」が始動した。ゲリラ部隊のコッブ大佐は、ゴルゴを嘘の依頼でブラジルのジャングルに誘きだし特殊部隊と戦わせることで、より完璧な局地戦データを得ようとする。素手で数百人の兵士と戦うゴルゴの運命やいかに……? 脚本:工藤かずや
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ゴルゴを実験に用いる
自説の検証のためにゴルゴを常人では乗り越えられないような困難に巻き込むエピソードはいくつかあるが、この『メジャー・オペレーション』ほど、ページを開いてすぐにゴルゴのピンチが見られる回もなかなか無いように思う。読者もゴルゴと共になぜピンチに陥っているのか判らないままにエピソードが始まる。緊張感があり、一気に引き込まれてしまう。
人間の悪意と自然の脅威
アメリカ軍の精鋭を集めたゲリラ専門部隊だけでなく、人間ほどの大きさのアナコンダや見るからに狂暴そうなジャガーがゴルゴに襲い掛かる。強靭な肉体と戦闘能力を持つのみならず、人間の心理まで知り尽くしたゴルゴがゲリラ専門部隊に対抗できるのは考えてみれば当然かもしれない。
ゴルゴは他の人間に負ける存在であるはずがない。しかし大自然に打ち克つには、肉体に加えて文字通り人間離れした胆力と知識が必要になる。自然に勝つゴルゴを見るたびに、ゴルゴのバックグラウンドを深く知りたくなるのだ。
作戦を知ったのではなく
エピソード中で、ゲリラ専門部隊になぜ執拗に狙われるのかとゴルゴが独白するシーンがある。しかし、以降ゴルゴが作戦の詳細を“知った”瞬間は描かれない。つまり、ゴルゴは己の知っている過去の戦闘や関連する人物像を考え、作戦を高い精度で推測したのだろう。
自身に唐突に降りかかる災難をただ乗り越えるだけでなく、背景と黒幕を冷静に考えられる精神力。ラストにゲリラ戦を勝ち抜く秘訣を語られるが、ゲリラ戦のみならずゴルゴがゴルゴである神髄はこの精神力にあるのだろう。
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大科 友美
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