この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第2巻収録。ターゲットは刑務所内にいる死刑囚だった!? アラスカ湾に浮かぶ脱出不可能といわれる刑務所、通称「パンドラの箱」へゴルゴ自らが囚人として赴く。知能戦で挑む奇想天外な結末とは? ゴルゴのブラックユーモアが炸裂する初期作品の名作。オフィシャルブック『THEゴルゴ学』のファンが選ぶTOP40では第8位に輝いた。脚本:小池一雄
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初期ゴルゴならではのニヒルな笑み
SPコミックス2巻に収録されている、ごく初期のエピソードだ。ゴルゴがよくしゃべり、ニヒルな笑みを浮かべる。今回のゴルゴへの依頼は脱獄不可能とされている刑務所に収監された男の狙撃だった。ターゲットを協力相手にしながら難攻不落の要塞のような刑務所を抜け出し、その先でゴルゴは銃の引き金を引く。
この大胆不敵な作戦も、血も涙もない冷徹さもゴルゴらしいといえるのではないだろうか。ただ、回を重ねると陥落不可能とされる施設をまるごとミサイルでぶち壊す、なんて力技を見せるようにもなる。どちらをもってゴルゴらしいというのかは読者それぞれだろう。自分はどちらにせよ依頼を遂行するためなら手段を選ばない様がゴルゴらしいと感じる。

ゴルゴの名前が確定した瞬間
このエピソードのラストで、ゴルゴはターゲットに向かって「おれの名は……ゴルゴ13……」と名乗る。「おれが相手に名のったのは……今度がはじめてだ……」と続けているので、ゴルゴなりの敬意だろう。ところでこのゴルゴ13という名称、第一話ではゴルゴ自身はそうと名乗っていない。依頼者からゴルゴ13と呼ばれて「おれのマスコットネームを知っているとは驚いた……」とさして驚いてもいない様子で返すだけだ。
由来は触れるだけではっきり語られてはいないが、ゴルゴ自身が名乗り始めたものというより周囲が付けたものという様子が伺える。読者以外だと死にゆくターゲットのみにとはいえ、その呼称を自らの名前だと明らかに認めた、記念すべき瞬間と言える。
後ろに立たれても平気?
ゴルゴ13のイメージとして、いかなる相手でも背中に立たれるととっさに攻撃をしてしまうというのも一般にあると思う。しかしこのエピソードでは食堂などで看守から後ろに立たれても、あまつさえ後ろから肩に手を置かれてもゴルゴは攻撃しない。ミッションのための潜入中なのだから当然ではある。
だが、他のエピソードでは機械のオートモード、あるいは脊髄反射かと思うほどすばやく攻撃に移るだけに少し意外さを覚える。見方を変えれば生理的に耐えがたいシチュエーションも依頼の完遂のためなら鋼の精神で乗り切ることができるともとれる。

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大科 友美

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