この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第67巻収録。夫の浮気を疑うアニーは探偵に素行調査を依頼し、ついに夫の浮気の決定的証拠を掴む。が、夫のビルの正体はKGBのスパイであり、ビルと会っていた女性も工作員のターニャだった。妻が自分を調査したことを知ったビルは、交通事故に見せかけてアニーを殺害する計画をたてる。脚本:本田一景
スポンサーリンク
ゴルゴに抱かれても旦那一途なアニー
『ゴルゴ13』には性に積極的な女性が多く登場するが、本話のアニーはその中でも特に傾向が強いタイプのようだ。旦那のビルとレスが続いて欲求不満になり、眠る彼の隣で自らを慰めるシーンはなかなかのインパクトがある。
そして、ビルの浮気を疑うあまり、衝動的にゴルゴを逆ナンして一夜を共にする彼女だが、ゴルゴとの情事の最中にもあくまでビルの名前を呼んでいるのが興味深い。行為の最中でも無表情がトレードマークのゴルゴも、それを聞いた瞬間はなんだか冷めた表情になっているように見える。彼女は本気でビルを愛していたのだろう。
妻を最後まで騙しきっていた潜入スパイ
潜入スパイの苦悩といえば、50巻収録の『スリーパー・エージェント』が印象的だが、本話のビルことソミノフもそうした長期潜入の任務を受けたスパイである。『スリーパー~』のレオンと比べると、ビルは妻への愛着はそれほどでもなかったと見え、躊躇なくアニーに手を掛けようとしている。
アニーは夫がスパイだと知るよしもなく、「どうしてあんな女のためにアタシを殺すの!?」と狼狽しているのが同情を誘う。結局、ゴルゴによってビルの方が殺されてしまうのだが、最後まで妻を騙しきっていた彼は優秀なスパイだったと言えるかもしれない。
不幸なアニーの最後はゴルゴに消された?
任務の邪魔になったアニーをビルが始末しようとするものの、寸前でゴルゴの「仕事」によりビルの方が命を落とすという結末を迎える本話。アニーのその後は描かれていないが、ゴルゴと深く関わり、殺害現場にも居合わせてしまった以上、彼の手で消されることとなったのは想像に難くない。それか、KGBに始末されたか……。
彼女にもし、夫の浮気を疑う猜疑心や、浮気相手(実はスパイ仲間)の元に乗り込んで手切れ金を叩きつけるような度胸がなければ、こうした展開にはならなかったかもしれない。強い行動力が身を滅ぼした不幸な話だった。
この作品が読める書籍はこちら
東郷 嘉博
最新記事 by 東郷 嘉博 (全て見る)
- ゴルゴ13:第536話『神の鉄槌』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第552話『受難の帰日』のみどころ - 2024年9月19日
- ゴルゴ13:第535話『森と湖の国の銃』のみどころ - 2024年9月19日