この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第43巻収録。世界的な小説家マッジ・ペンローズが「ゴルゴの半生を小説にする」と宣戦布告してきた。「どちらが先に死ぬかの勝負」とまで言い切るペンローズ。鉄壁の陸軍基地にこもり執筆を進めるペンローズに、ゴルゴは圧巻の“おとな買い”で報復にでる。ゴルゴを敵にまわすとどうなるかが痛感できるエピソード。脚本:北鏡太
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ゴルゴの魅力にとりつかれた果て
ゴルゴの正体を世間にさらそうとするエピソードはいくつかあるが、このミステリーの女王は代表格といえるだろう。“ミステリーの女王”の名を冠する女流推理作家マッジ・ペンローズがゴルゴをモデルにした小説を書くためにゴルゴと対決するというストーリーだ。
今回もそうだが、ゴルゴの正体を白昼に現したいと願うキャラたちは皆自身の仕事と知恵に誇りを持っている。プライドが高すぎると言ってもいいかもしれない。そんなキャラ達だからこそゴルゴに勝負を挑んでしまうのだろう。凡人の自分にゴルゴの魅力は判るが、同じ土俵に立とうとは思えない。
ゴルゴを罠に嵌め、傷を負わせた存在
マッジがゴルゴを殺害するために用意した罠は周到で、しかも信じられないほどの火力だった。アラスカまで偽の依頼で呼び出し、数多の傭兵と猟犬、赤外線探知機がついた軍用ヘリに襲わせたのだ。初手でそこまでするのかと正直驚いた。マッジも只者ではないと見せつけられる展開だ。さすがのゴルゴもこの不意打ちの強火力攻撃を受けては大怪我を免れなかった。
ところで私がこのエピソードの中で2番目に好きな場面はゴルゴが止血のために野草の根をむさぼり食うシーンだ。血と土にまみれてなりふり構わない姿すら様になるなんて、さすがゴルゴとしか言えない。
全力には全力で返すゴルゴ
さてこのエピソードではゴルゴは命を狙われ、それに応戦するという構図になっている。つまりゴルゴは依頼を受けたわけではないので、報酬も発生していない。だがゴルゴはマッジを殺すために古い戦闘機と島ひとつを購入し、島に飛行場まで建築してしまう。最後はマッジが籠る要塞基地にミサイルを撃ち込んでジエンドとなった。
火と同化したマッジの表情が描かれているコマがエピソード中最も印象に残る。セリフも無いが、マッジの驚きと悔いが存分に伝わってくる。対照的にゴルゴはラストで「小説の最後の一章は……あばよ、マッジ……だったな……」と呟く。普段余計なことを話さないゴルゴのこのセリフ、ゴルゴにとっても歯ごたえのある敵だったことが伺える。
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大科 友美
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