この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第88巻収録。大暴落を誘発するため、株価予想のプログラムにウィルスを忍ばせる事件が発生。調査に乗り出した元SEC(米証券取引委員会)の委員長・シャークは、2年前にインサイダー取引に関わったとして証券業界を追放された証券マン、ハミルトンの存在を突き止める……。脚本:氷室勲
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世界を震撼させる逆恨み男の復讐
若い頃さしたる苦労をしたことがなく、特にグレたりこともなく、反抗的でも攻撃的でもない、皆から「良い人」と言われる人間ほど、一度腐り始めると歯止めがきかない場合が多いという。大学を卒業し、投資会社に就職したハミルトンはそんな典型的なホワイトカラーだったのだろう。
おそらく人生で初めて味わう大きな挫折を前に、つぶれなかったまでは良かったが、挫折をバネにして奮起する方向性を完全に間違えてしまった。今回ゴルゴのミッションだが、冒頭はトレーニング程度の前座、そして最後に、まさしく離れ業の狙撃をみせてくれる。

悪事に手を染めるなら腹をくくれ
多くの人間は「善くありたい」と思っている。だから悪いことをするときは自分に言い訳をする。その中で最も始末に悪いのが「みんなやってるから」。
最近インターネットにおいて、分別をわきまえたような年齢の大人が自分のブログにアクセス数を増やし、広告収入を得たいがために「芸能人**が覚醒剤で家宅捜索」などといった衝撃的な話をフェイクと知りつつ拡散するという。その言い訳が「みんなやってる」。ハミルトンもそんな言い訳をしながら罪悪感にフタをしていたのだろう。悪事をするならバレたときのことを考えておいたほうがいい。
さすがはゴルゴ、資産運用もぬかりなく
元SEC委員長シャークの「金は世界最古の通貨だ。その金によって株式市場の混乱が防げたのも皮肉なものだ」という言葉が深い。物品の交換媒体である通貨はどんどん軽くなり、今や「暗号資産」という貨幣の実体を伴わない通貨さえ存在しようとしている。
ただ、エネルギーも含め、すべて「見える」ものから「見えない」ものへと変化するにつれ、その危険度は増していくことに、警鐘を鳴らしているようだ。そして最後に、ゴルゴも資産運用にはぬかりないことを明かしている。世界各地に有能なアシストを確保しておくにはお金がかかるのだ。

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野原 圭

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