この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第48巻収録。CIAの対エクアドル計画がゴルゴの活躍によって頓挫してしまう一編。南太平洋を航行中の囚人船・サリナス号。CIAは囚人船の遭難難破に見せかけて反米・反政府主義のリーダーたちを海の藻屑にしてしまおうとする。しかし全くの偶然で、サリナス号が漂流していたゴルゴを拾ってしまった。ゴルゴの超人的な活躍により、サリナス号は奇跡の生還を果たしてしまう。脚本:きむらはじめ
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危機に瀕して自分から動くゴルゴ
本作に登場するゴルゴは拳銃こそ撃ってはいるものの、いわゆる“仕事”はしていない。もっともそうした話は珍しいものではない。何らかの形で危機に陥ったゴルゴが自発的にそれを乗り切っただけのことで、同様の話には『誰がそれを成し得たのか』『町が死にゆく時』などがある。
ただし、狙撃や殺し以外にもゴルゴが様々な能力を持っていることを読めるのが本作の見どころとなっている。海上で嵐に遭遇したゴルゴは船員に代わって大型船を巧みに操縦したり、エンジンがオーバーヒートを起こした後に意外な方法で船を動かしたりしている。
結構おしゃべりなゴルゴ
本作でのゴルゴは結構おしゃべりだ。作中における最初のセリフは、「タバコをくれ」でその次は、「まずい」だ。素直な物言いに船を乗っ取った革命家から、「はっきりいう男だな」と言われるほど。
その後も革命家に対して嵐の海での操縦法や即席の海錨(シーアンカー)の作り方をレクチャーし、「革命家とはあきらめのいいものなんだ、な」と挑発すらしている。嵐を乗り切ってコロンビアに流れ着いた革命家一同は大喜びするが、ゴルゴは背を向けて去っていく。普段は背中に立たれることを嫌うゴルゴだが、この時ばかりは油断したのだろうか。
正反対の成果を導くゴルゴ
物語の最後では、ゴルゴや革命家達の乗った船の遭難自体がCIAの工作によるものと明らかになっている。密かに革命家たちを始末しようとしていたCIAの高官は、「対エクアドル計画をたったひとりの男のために…………白紙に戻さなくてはならないとは」と嘆く。
しかし、同時に推測ながらもゴルゴの仕事と思われる狙撃事件が語られている。それはペルーにて反政府極右組織の代表が狙撃されたとのこと。一方では政府の転覆を目指す革命家達を救い、もう一方では反政府組織の代表を殺している。使い方によって毒にも薬にも成りうるゴルゴの好例だろう。
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研 修治
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