この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第72巻収録。麻薬組織の首領・アダムズを狙撃したゴルゴだったが、本物のアダムズは生きていることが発覚。アダムズの用心棒で元FBIのマークは、ゴルゴはアダムズ本人を仕留めるべく、もう一度現れに違いないと考え、現役FBI捜査官にも協力を要請し迎え撃つ。脚本:K・元美津
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ゴルゴの用意周到なトリックがみどころ
本作のみどころのひとつは彼の格好だろう。物語の舞台となるのはビーチに隣接した別荘なため、不自然さを感じさせない釣り人スタイルのゴルゴで登場する。シャツにFISHINGとプリントされた物を着る等、釣り人アピールに余念がなく、このシーンだけを見ると釣り漫画でもやっていけるんじゃないかと思うほど様になっているのだ。
見た目だけがみどころかというとそうではなく、本作のトリックを語る上でかなり重要な意味を持っていることが物語後半に発覚する。釣り人ならではのトリックを意識しながら読むと、推理小説のような趣で本作を楽しめるはずだ。

復讐に燃える元FBI
魅力的な登場人物ではゴルゴによって失脚した男、元FBIのマーク・ブラッドが登場する。職業柄、ゴルゴは人の恨みを買いやすく『帝王の罠』『地獄からの生還者』等では命を狙われているシーンも多い。本作ではあくまでゴルゴの殺人を立証しようと奮闘するマークの存在が前述の作品と一線を画すものとしている。
FBIの同僚にも協力を仰ぐその姿は、怪盗ゴルゴの犯行を防ごうとするデカそのものだ。本作のターゲットとなる男、テッド・アダムズも魅力的だ。彼も用意周到な男で、一度はゴルゴの狙撃をダミーを用いてやり過ごしている。難を逃れたかに見えたテッドを巡って争う、ゴルゴとマークのやりとり80年代作品ならではの頭脳戦だ。
実行不可能な狙撃の答え合わせが痛快
物語早々にアダムスの影武者が眉間を撃ち抜かれて死亡するのだが、『欧州官僚特別便』でのゴルゴは、依頼の成否を確認できなかったがために現地に留まっている。
本作でもゴルゴがアダムスの替え玉を狙撃したことを見抜き再び現れるのだが、この時点での狙撃方法が全く不明で作中でもボディーガード達が匙を投げている。このシーンからの怒涛の答え合わせが本作の最大のみどころでターゲットが見えない、銃器が見当たらないなど諸々の問題を次々にゴルゴが解決し狙撃を成立させるのが痛快な作品となっている。

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小摩木 佑輔

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