この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第5巻収録。麻薬組織の帝王・ガボールの抹殺を依頼されたゴルゴ。ガボールを狙撃し香港へと旅立ったゴルゴだが、そこには殺したはずのガボールが待ち構えていた……。依頼人・ロッキーに女を献上されたゴルゴが、ロッキーに浴びせる痛烈な一言はこの時代のゴルゴならでは。脚本:K・元美津、宮崎惇
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ゴルゴの美学を再確認できる作品
本作では『バラと狼の倒錯』『猟官・バニングス』等でも愛用しているゴルゴお得意の嘔吐ガスに加え、工作によるトラップでスマートに依頼を達成する雄姿を堪能することが出来る。
また香港では男性を撃ち殺した女性を特に見返りもなく庇う、背後に立った相手を殴りつけるなど初期ゴルゴの集大成的な行動を多く見ることができる点がファンにはうれしい。一方『マッディブラッド』で見せた、やむを得ない状況でなくても依頼主の部下を撃ち殺すなど機械的で冷徹なゴルゴを少しずつ固めていく初期作品としての側面も持っている。
一癖ある依頼主とターゲット
登場人物で注目したいのは依頼主とそのターゲットだ。依頼主であるロッキー・ブラウンは、双眼鏡で覗いたビーチに美女がトランクケースの報酬を見せるなど洒落た見せ方をする男だ。更にはその美女も報酬の一部であり、泳いで取りに行くまでの利子という内容も面白い(もっともゴルゴの好みには合わなかったようだが)。
ユニークな報酬の提示方法といえば、サンタがプレゼント袋に満杯の札束を用意した『査察シースルー』も懐かしい。今回のターゲットは麻薬密売組織の帝王、バグシィ“ビッグ”ガボールだ。物語の序盤で早々にゴルゴに始末されてしまうため小物に見えてしまう。が、後半は読者も予想し得ない展開を披露してくれる要注意人物なのである。
次から次に発生するアクシデント
本作の物語ではゴルゴが早々に依頼達成し、順調すぎてなんだか拍子抜けする読者も多いはずだ。しかしゴルゴの行くところトラブルが付き物で、次の依頼を受けるために飛んだ先で謎の女性を匿ったことで話に暗雲が立ち込め始める。
そこからは怒涛の展開で序盤で達成した依頼が実は……な展開を突きつけられたり、暗殺者に突然襲われたりと次から次にアクシデントが発生する構成がみどころだろう。類似の話としては『仮面の標的』があるが、そちらを読んだあとに本作を読むとミスリードさせられるため併せて読むことをお勧めする。
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小摩木 佑輔
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