この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第5巻収録。KGBの依頼で生物化学兵器の世界的権威であるセルナク博士の抹殺を請け負ったゴルゴ。狙撃場所は博士が亡命を計画しているスイスの雪山を選んだが、狙撃後はKGBの裏切りにより地元警察に包囲されてしまう……。脚本:宮崎惇
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裏切り率NO.1の諜報機関は?
第二次大戦中、自身もスパイとして活躍していたイギリスの作家イアン・フレミング。ゴルゴ13はフレミングが創作したスパイ小説「007」を下敷きといているだけに、特に初期作品では各国の諜報機関が数多く登場する。
アメリカのCIA、イギリスのMI6、ソ連のKGB、イスラエルのモサド……。時には味方となり時には敵となり、ゴルゴは各国の諜報機関と密接に関わってきた。
では各国の諜報機関のなかでゴルゴに依頼をしておきながら裏切った回数の多い機関、すなわち“裏切り率NO.1”の称号をもっている機関はどこだろうか? 答えはソ連のKGBなのである。
名も無きKGBの女性上官
今回登場する依頼人もKGBだ。例によってゴルゴを裏切り、制裁をうけるハメになっている。女性キャラ、いわゆるゴルゴ・ガールの登場が必須だった初期作品だけに、KGBの上官も女性である。
この女性上官、かなりの美人であるにも関わらず名前が与えられていない。一世を風靡した名女優ブリジット・バルドーを彷彿とさせる美貌。もちろん男性読者向けのサービスカットも充実しているからして、美女キャラ好きの読者には必読の1話としてお薦めしておきたい。
変わらぬ魅力“裏切りエピソード”
昭和作品と平成・令和作品では画風も違えばテーマ自体も変化している。しかしゴルゴを裏切った依頼人が、その後に制裁をうける“裏切りエピソード”はシリーズを通して変わらぬ魅力をもっていると言っていい。
とくに瞳だけをアップして心理状態を描写することが多い昭和作品では、依頼者が自身の裏切りをゴルゴに察知されたと知った瞬間の心理描写がさすがである。個人的にお薦めなのが本作『白い死線』と39巻『軌道上狙撃』で描かれる、対向車線に駐車してある車のなかにゴルゴの姿を発見するというパターンだ。
ゴルゴは死んだものと思いこみ車内で悠々とタバコをふかす依頼人が、対向車のなかにゴルゴを発見する……! タバコの煙。瞳のアップ。愕然とする依頼者の心理描写はシリーズきってのお宝シーンなのだ。
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町田 きのこ
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